「我々のネットワークが不満でドコモに流れていくリスクは、もうほとんどなくなった」――ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は9月30日、冬春モデル発表会でNTTドコモのiPhone参入についてこのように語った。
ドコモがiPhoneの取り扱いを開始したことで、今後は国内主要3キャリアからiPhoneが販売されるようになる。この点について、孫氏は「これからは端末を数多く出すよりも、ネットワークの優劣で競争していく時代になる」とコメント。ネットワークに加えて、サービスやコンテンツが差別化の重要な要素になるとの見方を示す。
ドコモの参入については「もし4年前にドコモから出たならば壊滅的な打撃を受けただろう」と振り返りつつも、数年間かけて基地局を増設し、子会社化したウィルコム、イー・アクセスの周波数や基地局を活用することで、現在では通話、パケットともに接続率でナンバーワンを獲得していると胸を張る。
また、BCNが発表した家電量販店におけるiPhone 5s/5cの販売台数シェアで、ソフトバンクが44.7%(ドコモは27.8%、auは27.5%)で首位になったことを紹介し、「実際に(新型iPhoneが)発売されてみて、雪崩のようにドコモやauに顧客が逃げていくことは、そこまでなかったと確認できた」と説明した。
「我々はスマホ時代を予見し、先にiPhoneを独占させていただいた。そのおかげで、さまざまなノウハウが身についた。その分、スマホに適したネットワークがどうあるべきかをいち早く体験し、それを設計に生かすことができた。だから無事故が850日間も続いているし、パケ詰まりがしない。あるいはスピードにおいても圧倒的なノウハウを先に持つことができた」(孫氏)。
ただし、国内ではすでに携帯端末が浸透しており、これまで以上の新規ユーザーの獲得は望めないことから、今後は7月に子会社化した米Sprint Nextelの成長を加速させることでソフトバンクの連結業績を伸ばしていきたいと語る。
孫氏は9月20日の新型iPhoneの発売イベントに姿を現さなかったことから、一部では「ドコモの参入でiPhoneに興味がなくなったのではないか」と噂されることもあったが、「ちょうど米国でSprintの取締役会が行われていたので、発売イベントには参加できなかった。決してiPhoneに対する情熱を失ったわけではない」と、これを否定。
また、孫氏はAppleの前CEOであるスティーブ・ジョブズ氏と親交があったことでも知られているが、ティム・クック氏が指揮をとる現在のAppleとの関係に変化があったのではないかと訪ねられると、「他社に対するコメントはできるだけ控えたい。我々は精一杯やるべきことをやっていくだけだ」とした。
なお、孫氏は質疑応答の場で、自身のTwitterアカウントの更新が滞っている理由や、「Tizen」「Firefox OS」など、いわゆる“第3のモバイルOS”を搭載した端末の導入についての考えも語っている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス