Juniperの予測によると、アプリに対応するスマートウォッチの総出荷台数は、2013年は100万台程度だが、今後急増して2018年までに3600万台に達する見通しだという。この予測は、今後のスマートウォッチのほぼすべてがサムスン製かApple製になることを前提としているとBhas氏は述べた。ウェアラブル市場の総出荷台数は2017年に約7500万台に達すると予測する調査会社もある。モバイルデバイスに比べるとはるかに小さい規模だが、それでも電子機器メーカーにとって魅力的な分野であることに変わりはない。一方、IDCの予測によると、スマートフォンの出荷台数は2017年までに17億台に達する見通しだという。
サムスンのGALAXY Gear発表は9月4日、ベルリンで開催中の家電見本市IFAにおける派手なイベントと、それを同時中継したニューヨークでのイベントにおいて行われた。Gearは299ドルのスマートウォッチで、米国では10月に発売される予定だ。金属製フレームに囲まれた1.63インチのSuper AMOLED画面を搭載し、伸縮性のあるバンドに1.9メガピクセルカメラを内蔵する。「Android」を搭載し、GALAXYシリーズのスマートフォンやタブレットと同期するため、ユーザーはモバイルデバイスに触れることなく、音楽プレーヤーの操作やメッセージのチェックができる。当初Gearに対応するのはGALAXY Note 3ファブレットだけだが、近いうちに「GALAXY S4」と「GALAXY Note 2」にも対応する見込みだ。
Gearの初期バージョンが業界を一変させる可能性は低い。発売段階でさまざまな制約があることがその理由の1つだ。しかしサムスンは、Gearの第1弾が大ヒットすることはそれほど重要ではないと考えているのかもしれない。サムスンはある市場に狙いを定めると、その取り組みを推進するために全精力を傾け、ヒット商品が生まれるまで新バージョンのデバイスを発表し続ける。同社は「GALAXY S」シリーズでまさにその戦略を実践してきた。その戦略に注力したことで、同社は第3世代や第4世代が発売されるころには、スマートフォン市場で優位を占めていた。同社はウェアラブルを今後の鍵となる成長分野と見なしているため、フレキシブルディスプレイ搭載モデルなど、未来のデザインの開発に既に取り組んでいることは間違いない。
Gearが最初のうちは小規模な市場になるということは、サムスン自身も認めている。The Wall Street Journal(WSJ)によると、サムスンの共同最高経営責任者(CEO)で同社モバイル事業のトップを務めるJK Shin氏は、サムスンが販売するGALAXY Note 3デバイスとスマートウォッチの比率は10対2か10対3になるかもしれないと考えているという。サムスンのヘッドデザイナーであるDong-hoon Chang氏は先ごろ米CNETに対し、短期的に見ればスマートウォッチはスマートフォンのアクセサリでしかなく、購入者は限定されると述べた。
「未来に何が起きるかは誰にも分からない。もちろん、当面はスマートウォッチの市場がスマートフォンほど大規模になることはないだろうが、今後2、3年の間にかなりの規模に成長する可能性はある」(Chang氏)
Gearは初期段階でさまざまな課題があり、対象範囲も限定的だが、少なくともサムスンはAppleを手本にしなくても革新的なものを作り出せることを示した。同社はウェアラブル分野において新たな標準を設定した。次はAppleが動く番だ。その間、サムスンが何もせずにじっとしていることはないだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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