ヤフーは、8月26日にFlipboardとパートナーシップ契約を締結したことをあきらかにした。8月29日より、Flipboard社の「Flipboard」上で「Yahoo! JAPAN」のコンテンツを掲載すると同時に、Yahoo! JAPAN上でFlipboardのプロモーションを支援をする。
Flipboardは、タブレットやスマートフォンで利用できるニュースリーダー。各種コンテンツプロバイダの記事や、SNSの投稿などを雑誌感覚で閲覧し、ソーシャルメディアでシェアできる。サービスは2010年12月に開始。7月時点で世界15カ国7500万ユーザーを誇る。日本版は2012月5月にサービスを開始。コンテンツや広告の展開では、電通、アサツー ディ・ケイ(ADK)、サイバー・コミュニケーションズ(CCI)、ADKデジタル・コミュニケーションズ(ADDC)が協力する。
スマートフォン、タブレットといったスマートデバイス施策を強化する「スマデバファースト」を掲げるヤフー。ヤフー 執行役員 CMO スマートフォン戦略本部長の村上臣氏は、スマートフォン戦略に関して「自社アプリも強化し、無料アプリでApp Storeの1位を取れるようなアプリも出てきて、一定の成果が出てきた」と語る一方、「自社だけですべてのユーザーニーズを満たせる世界ではなくなっている」(村上氏)とし、パートナーとの連携の必要性について検討していたと説明した。
その中で、村上氏自身が“お気に入り”だというFlipboardに着目。今回の連携に至った。「決定打になったのは『タブレット』(に強いこと)。タブレットの世界では(最適化されたニュースリーダーが)がまだ他にない。タブレットを強化しようとする中で、いいアプリとは何らかの形で組みたいと考えていた」(村上氏)
今回の連携により、ヤフーが提供するコンテンツについては、Flipboard上のコンテンツフィード上でほかのコンテンツより上位に表示する。当初提供するのは、「Yahoo!知恵袋(「役立つ質問)コーナー」のみ)」「Web R25」「X BRAND(小学館提供のDIME、Domani、美的の3媒体)」。今後随時提供コンテンツ数を拡充してく予定だが、詳細については未定としている。
ヤフー経由でのコンテンツ提供でFlipboard上での露出が増えることになるこの施策。ヤフーにもコンテンツを提供し、独自にFlipboardでコンテンツを提供している、もしくは提供しようとしているコンテンツプロバイダは露出についてどう考えるのだろうか。
ヤフーによると、すでに出版社や新聞社などのコンテンツプロバイダとは話し合いを進めているところだという。「様子見のような温度観があるところもあるが、優先的な枠には興味持って頂いている。出版社には承諾頂き、まずはX BRANDを提供することになった。新聞社などの反応は各社バラバラ。時間をかけて説明をしていきたい」(ヤフーメディアサービスカンパニー企画本部部長の金子千夏氏)。
タブレットの場合、Yahoo! JAPANをブラウザで見るユーザーも少なくないという。社内でFlipboardへのコンテンツ提供が競合と見られないのかと尋ねたところ、村上氏は「そう見られるところがあるかも知れない」とした上で、「とは言え、全社で見ると広くユーザーにリーチすることこそがヤフーの力になっていく。アプリマーケットがグローバルになる中で、Flipboardは力を付けてきている。そうなると例えばプリインストールされているデバイスで、ユーザーをすぐにつかむこといったことができる。そういったところで大きい商流ができることを期待している」(村上氏)とした。
Flipboardは通常、紙の雑誌と同様にインプレッション数ではなく、掲載期間などで料金を決めて広告ビジネスを展開している。ヤフーを経由してコンテンツを提供する場合、「詳細は非公開」とした上で、同様の形でのレベニューシェアをしていくことを示唆した。加えて、「米国だと、Flipboard上にコンテンツを公開することで定期購読ユーザーが増えるということが見えており、プロモーションフィーと割り切っているという話がある。日本は定期購読がまだ少ないが、同じようなことができればと考えている」(村上氏)とした。
スマートフォンで着実に実績を積み上げる一方、実はタブレットに関する展開はまだあまり発表されていなかったヤフー。今後の展開については、「いまだ構想中」(村上氏)とのことだが、「子供向け動画のiPadアプリなどは出している。そういった目的特化型のものは出していきたい。トップページのような『フラッグシップアプリ』が必要かはまだ分からない」(村上氏)とした。
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