そこでUbuntuが提案したのが、最先端の部品をふんだんに使った少量生産のスマートフォンに対して、テクノロジ好きとその分野のプロフェッショナルからクラウドファンディングで資金調達をすることだった。これが、Ubuntu Edgeにラップトップ水準のパワーと、傷がつかないサファイアクリスタルのスクリーン(これより硬い物質はダイアモンドしかない)、デュアルグローバルLTEアンテナ、最高水準のカメラ、4.5インチのディスプレイなどが詰め込まれている理由だ。また、Ubuntu Edgeのボディは、表面が加工された単体の金属部品でできている。
Shuttleworth氏は、Ubuntuの試みを、次のような比喩で説明した。
「自動車産業では、F1で新しい技術を試しているが、モバイル業界にはそれに似たものがない。優秀なドライバー向けの特別な市場もない。全員が大量生産のセダンに乗っているようなものだ。最新技術のための消費者によるテストベッドもない状態だが、われわれには、イノベーションを促進する新たなメカニズムである、クラウドファンディングがある。Ubuntuの持っているスマートフォンとPCを統合するビジョンは、モバイルコンピューティングの限界を押し広げる。われわれはすでに業界のさまざまな企業と協力関係にあり、最新のスマートフォン技術(ソフトウェアとハードウェアの両方)に強い関心を持つ人が何百万人もいることから、われわれはモバイル業界にイノベーションをもたらす方法を一緒に変えるのに最適な立場にいる」
つまり、Ubuntuがそういった先進技術の一部をクラウドファンディングによって限定版のデバイスに盛り込むことによって、大手メーカーにも新たな技術を導入させ、イノベーションの速度を速めさせることができるかもしれないという考え方だ。Ubuntu自身は、スマートフォン事業に参入したいとは思っていないようだ。Ubuntuには、Ubuntu Edgeを生産する経験豊富な契約メーカーがついていると述べていた。
ただし、Ubuntu Edgeにテクノロジマニアがハイエンドスマートフォンの定価に相当する金額を払うだけの最新技術が詰まっているかどうかという問題があった。また、Ubuntu Edgeが仮に実際に市場に出てくると考えた際に、それよりも前に大手スマートフォンメーカーがUbuntu Edgeの長所を持つデバイスを発表するか、先端機能の一部を実現して、先手を打ってくるかもしれないという問題もあった。
Ubuntu Edgeの生産が実現すれば、1カ月間で3200万ドルを集めるはずだった。
「これを実現するには、クラウドファンディングの歴史上の記録をことごとく打ち破る必要がある。これは素晴らしい、最高の試みだ」とShuttleworth氏は述べていた。
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