しかしUbuntuは、本当に革新的なのは、スマートフォン環境とデスクトップ環境の統合だと考えた。同社はAndroid向けUbuntuを発表した2012年からこの問題に取り組んでおり、2013年7月の動画のデモでは、テスト用デバイス(Ubuntu for Androidを載せた「Nexus 4」)で完全なUbuntuが動作するプロトタイプが動いているところを披露した。Ubuntu Edgeには、Nexus 4よりもはるかに大きなパワーがあるはずだが、このデモの段階でも、並のPCと比べて遜色ない能力があるように見えた。このUbuntuには、デスクトップからAndroidアプリを実行する、スマートフォン環境とデスクトップ環境の連絡先情報やメールメッセージ、ソーシャルメディアの認証情報を共有する、両環境で同じウェブページを開くなどの機能が備わっている。Ubuntu Edgeでは、Androidの代わりにUbuntu Phone OSで立ち上げるオプションも用意された。しかし現在はAndroidに勢いがあり、製品化が実現していれば、多くのUbuntu Edge購入者は、スマートフォンモードではAndroidを使ったかもしれない。
Ubuntuはまた、このデバイスを企業向けとして考えた。企業ではシンクライアントや仮想デスクトップがようやく普及し始めているが、Ubuntu Edgeはシンクライアントデバイスとしてさまざまなシステムに接続できるように作られている。実際、シンクライアント環境でネットワーク越しに「Microsoft Office」を動かしてみせるデモもあった。
「このデバイスは、完璧なシンクライアントの代わりになる。実際、現在流通しているほとんどのシンクライアントよりも性能は高い」とShuttleworth氏は述べていた。
ただし、本格的なコンピュータとしても動作するだけのパワーを詰め込んだスマートフォンのバッテリが、1日持つのかという大きな疑問は残っている。
最近ではテクノロジ業界でも、スマートフォンが日用品化して、イノベーションの勢いが衰えてきていることに危機感がある。Shuttleworth氏は、その原因は、スマートフォン業界が何千万台も売れるヒットデバイスに依存する、厳しいビジネスであることにあると述べている。その結果、スマートフォンメーカーは、低コストで大規模に入手できない最新技術の採用には及び腰になる。
一方、Shuttleworth氏は、スマートフォンで可能なイノベーションには、熱意のあるユーザーが、大量製品が可能になるまで待たずに、今すぐ体験したいと思うようなものもあると主張する。
「モバイルの可能性に対する熱意が妨げられている状態だ」と同氏は述べた。
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