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美少女ゲーム業界が生んだクラウドファンディングの価値--「CAMPFIRE」で過去最高の調達

佐藤和也 (編集部)2013年08月09日 12時00分
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 クラウドファンディングとその仕組みを取り入れたプレオーダーにより、ユーザーからの支援による資金調達が2案件で合計約3700万円。ニッチな市場である美少女ゲーム業界で最近起きた出来事だ。

 5月にクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で「『KICK START GENERATION』公演映像化計画」と題したプロジェクトの受付が開始された。ロックンロールエンターテイメントカンパニーのOVERDRIVEが、バンドや音楽をテーマにしたPCゲームのライブシーンを再現するライブイベントを過去に実施。このプロジェクトは、最終公演として行われた「KICK START GENRATION~d2bvsDDvsCaS~」を映像化して販売することを目的としたものだった。

 知る人ぞ知るイベントかつニッチなアイテムのプロジェクトであったが、360万円の目標金額をプロジェクト開始から約5時間半という早さで達成。その後も金額は増え続け、最終的には986万円まで到達した。この数字はCAMPFIREにおける調達額として過去最高を記録している。

 流通金額も増え、100万円台の高額サクセスも増えている国内クラウドファンディング市場であるが、社会貢献や寄付の要素が強いものが高額になるケースが多く、クリエーターのものづくりへの支援、商品購入という要素での高額支援はまだ少ない。このプロジェクトはそんな国内のクラウドファンディング市場においても上位に位置するプロジェクトとなった。

 実はこのあと、もうひとつの資金調達も行われた。2001年に発売され、その後テレビアニメやコンシューマゲーム、ノベライズなど多方面に展開された「グリーングリーン」の原作PCゲームのリメイクを発表し、ユーザーからの開発資金の支援を集った。

 1500万円という目標金額は設定されていたものの、その成否を問わずに製品化することを明言し、支援した時点で決済されるプレオーダーという形で実施。クラウドファンディングの購入型リターンのような多様なメニューを用意し、クラウドファンディングサイトではなく、自社ECサイトで運用を行った。その結果、最終的には開発製造費用と見込んでいた2500万円を超える2700万円の調達に成功。プレオーダーであったためクラウドファンディングとしての数字には残らないが、ユーザーから直接資金調達を行ったという意味では異例の数字だ。

 このふたつのプロジェクトを提案したOVERDRIVEの代表を務めるbamboo氏に、2案件に対する取り組みやプロジェクトを提案する側から見たクラウドファンディングについて聞いた。ちなみに同氏は、レコーディングスタジオやアパレルグッズ制作を手がけるSTUDIO696の代表も務める傍ら、20年以上活動しているバンド「milktub」のボーカルを務める現役ロックシンガーの顔も持つ。

bamboo氏
bamboo氏

--ゲームプロデューサーとスタジオ経営、ボーカリストという3足のわらじを履いている方はなかなかいないと思います

 もともとはバンドを含めて、ずっと長く音楽活動をしていたんです。それで昔に師事していた方が「バンドや音楽活動は売れるときは一瞬。人生長いから手に職をつけなさい」と言われて。そこでゲーム系の大手メーカーのプロダクトを作っている会社に入って、プレイステーションのゲームやおもちゃなどの企画を手がけるプランナーを、3年ほどしていました。

--美少女ゲーム業界に入ったいきさつはなんでしょうか。

 3年働いて、そろそろバンド活動を本格的にやろうと思ったんですけど、そこでとある人に「うなずいているだけで、月何十万ってもらえるよ」という甘い言葉に誘われて業界に入ったんです。でもそれは大うそで、最前線で働かされましたね(笑)。その後にいくつかの作品に関わって、初めてプロデューサーとして手がけたのが、12年前に出た「グリーングリーン」になります。

 ゲームの仕事をするようになってから「ゲームで偉くなったら、自分でゲーム作品の音楽を作れるんじゃないか」と思いはじめたんですよね。ニュアンスとしては、自分たちでゲームを作りながら自分たちの音楽とタイアップをしていると言うんでしょうか。その後、他のメーカーさんや声優の方へ楽曲を提供する機会も増えてきて、じゃあスタジオを作るかと思って。それで今日に至ります。

--多方面で活動していますが、ひとつに絞ろうと考えたことはありますか。

 ゲームを作るのも好きですし、バンドのボーカルを担当しているのでそこに注目されるのですが、もともとはゲーム音楽の作詞家としてデビューしているんです。とにかく、楽しいことはいっぱいあっていいんじゃないのと。大変なこともありますけど、それが日常になっているので、ひとつだけ専念するというのは考えたことはないです。どれも好きだし、嫌いなのは資金繰りくらいです(笑)。

--milktubの活動として、最近はテレビアニメの主題歌を担当されています。

 以前「バカとテストと召喚獣」のエンディングテーマを担当しまして。(発売元の)ランティスさんの大英断ではないかと。最初話がきたときにはびっくりしましたね。これまでもアニメ主題歌の作詞作曲の提供自体はあったんですけど、まさか歌うところまでとは思ってなかったです。

--放送中の「有頂天家族」のオープニングテーマである「有頂天人生」を担当しています。

 原作の小説は読んでいて、とても面白いと思っていたんです。「おもしろき こともなき世を おもしろく」という言葉のような主人公のスタンスが、自分に近いと感じていたので、その部分を全面に押し出して声高らかに歌い上げました。主題歌を担当することができたのはすごく嬉しかったですね。幸いなことにいろんな方からいい評判を聞いています。CDも発売されるのですが(※7月31日に発売)、たくさんの方に手にとってほしいと願うばかりです。

--ちなみにアニメとゲームで主題歌作りに違いはあるのでしょうか。

 美少女ゲームだと女性ボーカリストが好まれるという一面があるにはありますが、ゲームでもアニメでも主題歌というのは特攻隊長みたいなもので、その一曲で作品の方向性やカラーなどいろんなものが詰め込まれてないといけないんです。その役割が果たせるかどうかが全てなので、多くの人が見ていただけるのはアニメの利点なのかもしれませんが、ゲームとアニメだからというところでのスタンスの違いはないですね。

--まずクラウドファンディングを活用しようと思ったきっかけや経緯を教えてください。

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