PebbleはAmazonの「Kindle」やカシオの腕時計といったものを愛好している人々を引きつける、ミニマリズムを追求したレトロギークなスタイルとなっている。茶色の段ボール箱の側面に刻まれたジッパーを切って箱を開けると、Pebble本体とUSB充電ケーブルが入っており、箱の内側には詳細説明をダウンロードできるオンラインサイトへのアクセス情報が記されている。
Pebbleには1.26インチで解像度が144×168ピクセルの小さな(現在の標準的なスマートウォッチと比べた場合)「電子ペーパー」ディスプレイが搭載されている。電子ペーパーという表現は少し誤解を招きやすいものとなっている。これはいわゆる電気泳動方式の電子ペーパーではなく、コントラストのはっきりした白黒のメモリ液晶ディスプレイである。このため太陽光の下でもテキストやアイコンがくっきりと表示される。また左側面のボタンを押すか、腕をさっと振るとLEDバックライトが点灯するようにもなっている。
Pebble本体のカラーはレッド、ブラック、ホワイトなど5色の中から選べる。表面のプラスチックカバーは光沢があり、Pebbleのウェブサイトには傷が付きにくいと記されているが、筆者の1週間の通常試用では、注意していたにもかかわらずちょっとした擦り傷と引っかき傷がついてしまった。バンド部分はゴムのような材質であり、肌触りもよくぴったりと腕にフィットし、1週間はめ続けた頃には装着していることを忘れそうになるほどだった。
Pebbleは水泳やシャワー程度に相当する「5 ATM」の耐水性評価を得ている。この点だけでも、スマートウォッチの購入を検討している人にとってポイントが高いはずだ(とは言うものの、筆者は手洗い以上のことを行う場合には外していた)。
タッチスクリーンは装備されていないものの、4つのボタンだけでほとんどの操作が行える。右側の3つのボタンは、メインメニューの上下スクロールと、オプションの選択(中央のボタン)のために使用する。そして左側のボタンは戻るボタンとして、あるいは画面のバックライトを点灯させるために使用する。さらに本体を振るという動作でもPebbleに指示を与えられるようになっている。
PebbleにはARMの「Cortex-M3」プロセッサと、アプリやPebbleのフェースをダウンロードしておくための小容量のストレージに加え、3軸の加速度センサや磁気センサ、環境光センサが装備されている。なお、8つまでのアプリやフェースがPebble自体に格納できる。また、Pebbleの「アプリストア」には現在、無料のフェースやアプリが複数用意されている。
このスマートウォッチには、さまざまな用途で使えるセンサと技術が搭載されている。こういったものを利用するうえで、Pebbleの持つ可能性をすべて引き出せるかは、アプリ次第だ。
Pebbleは「iPhone 3GS」や「iPhone 4」「iPhone 4S」「iPhone 5」、および「iOS 5」や「iOS 6」が稼働する「iPod touch」、また「Android OS」のバージョン2.3以降が稼働するスマートフォンと互換性がある。それらの使用感は驚くほどよく似ており、いずれでも、アプリのインストールや削除が行えるPebble専用アプリのダウンロードが可能となっている。
とは言うものの、違う部分もある。iOSでは、通知は電子メールやSMS、iMessage、電話に限られている。しかしMusicアプリは筆者が試してみたほとんどの楽曲再生アプリと連携できた。一方Android OSでは、他のアプリからの通知と容易に連携する機能が用意されている。また数は限られており、それほど実用的とは言えないものの、連携可能なサードパーティー製のアプリも存在している。ただしMusicアプリの連携は、デフォルトの楽曲再生アプリと「Google Music」のみであった。
またどちらのOSでもペアリングや通知をうまく機能させるには苦労するはずだ。iOSでもAndroid OSでも、必要不可欠な設定がPebbleアプリからではなく、ちょっと変わったところから行うようになっている(iOSでは通知センターを用いて各アプリの通知を設定する必要があり、Android OSではAccessibility設定を変えたうえで、各アプリの設定を行う必要もある)。さらにPebbleは複数の携帯電話とペアリングしてしまう場合もある。「GALAXY Note II」とiPhone 5が同時に接続されてしまった際には訳が分からなくなり、再起動する羽目に陥った。それ以外の場合にはペアリングはたいていうまくいったものの、Pebbleアプリから何度も再接続許可を求められた。こういった点から、本来あるべきシームレスさがすべて実現されているとは言えない。
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