Martian Watchesのプロダクトデザイナーたちは、同社の「Martian Passport Watch」スマートウォッチの開発に着手したとき、伝統的かつ上品で非常にアナログ的な外観を採用するという、リスクを伴う決定を下した。
予想通り、そのデザインに関する決定を受けて、家電製品が好きな人々はMartian Watchesに拒絶反応を示し、ファッションに関心のある人々はカリフォルニア州アーバインに拠点を置く同社を賞賛した。一部では人々の手首に「次なる大物製品」がやってくると考えられているが、このデザインに関する決定はスマートウォッチが直面する本質的な問題も象徴している。つまり、ノートPCや携帯電話と違って、腕時計は自己主張のためのファッションである。そして、テクノロジが好きな人々にとっては、スマートウォッチが携帯電話の利用支援以上のことをしてくれたら素敵だろう。
スマートウォッチが家電製品における次の革命になるためには、非常に異なるそれら2つのニーズを調和させる必要があるだろう。The New York TimesのDavid Pogue氏は3週間前、スマートウォッチについての総括記事を執筆し、「まだ機は熟していない」という表現で最も適切に要約できる結論を下した(米CNETのScott Stein記者はMartian Passport Watchに5点満点中3点の評価を与えた)。専門家たちは、スマートウォッチが基本的にスマートフォンの周辺機器なのかどうかについて、迷いを隠しきれないでおり、消費者は自分たちにこの種のデバイスが必要な正確な理由について、頭を悩ませている。
とはいえ、今日のテクノロジ業界で話題になっているスマートウォッチに対する否定的な反応は、初期のスマートフォンに対するあまり熱意のない反応、初期のMP3プレーヤー、そして、タブレットに対してさえあった否定的な反応に酷似しているように思える。その後、「iPod」や、「iPhone」を含む多数の良質なスマートフォン、そして「iPad」が登場した。
シリコンバレーには、われわれは3年間で起こり得ることを過大評価し、自分たちが10年間でできることを過小評価する、という格言がある。そして、われわれはおそらく両者の間のどこかで、スマートウォッチに関する真実を見つけるだろう。アナリスト企業ABIの研究者たちが2月に予想したところによると、ウェアラブルコンピューティング製品市場の出荷台数は2013年に5200万台になり、2018年までに4億8500万台に達するという。スマートウォッチもその合計台数に含まれるようになるだろう。
なるほどそうかもしれないが、先のことは誰にも分からない。5年後の市場予測の信頼度はパンクサトーニーのPhil(ペンシルベニア州パンクサトーニーにいるジリスの一種のグラウンドホッグで、春の訪れを予想すると言われている)と同程度だ。市場調査会社NPD GroupのバイスプレジデントであるStephen Baker氏によると、従来の腕時計の米国における年間売上高は約60億ドルだという。そして、スマートウォッチの売り上げの潜在的可能性を測定しようとするとき、その数字は全く何も意味しない。
Baker氏は、「従来の腕時計市場をスマートウォッチ市場と比較するのは無益な行為だと思う」と話す。スマートウォッチ市場がどれだけの価値を持つ可能性を秘めているのかを推測するのは困難だが、仮に米国における価値がたったの60億ドルなら、Appleがうわさされているようにスマートウォッチ市場に参入する可能性は極めて低い、と同氏は付け加えた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス