「シナジーだけで6億円の価値」--スタートトゥデイとブラケット両代表が語る連携の意義

岩本有平 (編集部)2013年07月17日 07時30分
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 「ZOZOTOWN」を中心に事業を展開するファッションECの大手スタートトゥデイが、ネットショップ作成サービス「STORES.jp」を運営するブラケットの完全子会社化を発表した。

 2013年3月期通期決算を1月に下方修正したものの、結局は11期連続で増収増益となり、7月に株価は上場来高値を付けるなど、勢いのあるスタートトゥデイ。一方でブラケットはこれまで外部からの資金調達をせずに事業を展開。STORES.jpは、2012年9月のサービス開始から約10カ月で4万のショップがオープンしている。業界内では「資金調達に向けて動いている」といううわさがあった中で、突然の子会社化に驚きの声を上げた業界関係者も少なくない。

 そんな両社の狙いについて、スタートトゥデイ代表取締役社長の前澤友作氏とブラケット代表取締役の光本勇介氏について聞いた。

――子会社化の経緯について教えて下さい。いつ頃からコミュニケーションを取っていたのでしょうか。

前澤氏:実はスタートトゥデイとブラケットは2~3年来の付き合いがあります。当時から弊社のシステムの一部を作ってもらったりしていました。

 ですが今回(の子会社化)に至る話には、1カ月ほど前から始まりました。

光本氏:私たちが力を入れているポイントは2つです。1つはいかに早いタイミングでスケールしていくか。もう1つはいかに強力な販売や露出の動線を作るかというかです。現在結果的にSTORES.jpは約4万のEC店舗を持っている中で、アパレル関係のストアが非常に多くなっています。

そういう意味では、スタートトゥデイは強力な基盤を持っています。その強み、経営資源を活用していくことで、私たちが強みにしたいことを作っていけるのではないかと思って話し合いをしている中から、今回の発表に至りました。

――最初から100%の買収ありきという話だったのですか。

前澤氏:最初は事業提携ベースで話を進めていました。ですが、 今回は在庫の連携や商品情報の連携など、会社対会社で密に連携しないといけないことが多くなります。そういう意味でも「細かく提携しないでがっつり組んだ方がいいぞ」という話になりました。 同じ屋根の下で事業を進めたほうが、ユーザーにとっても、店舗、ブランドにとってもいいだろう、と。

光本氏:今後はスタートトゥデイのAPIを使うなどして、システム面の連携を取っていきます。

――スタートトゥデイとしては、CtoCや小規模のECといった領域に興味があったのでしょうか。

前澤氏:興味ありますね。すでにCtoBtoCという形でユーザーから古着を買い取り、販売するということ(「ZOZOUSED」)はやっていますが、そこをもっとダイレクトにやっていくうちの1つになるかも知れません。

――ZOZOTOWNとSTORES.jp自体は、独立して運営されるのですか。

前澤氏:STORES.jpは独立して運営していきます。

光本氏:私たちが目標としている規模感はまったく変わりません。突き進んでいくのみです。私たちが戦おうとしているマーケットはより活発でコンペティティブになると思っています。その中で、「今月数千ストア増えました」というレベルでなく、もっと大きい成長、シェアを握っていくことが重要です。その中で最短スピードでジャンプするための一番のパートナーになって頂けると思います。

――ブラケットでは、STORES.jp以外にもサービスを展開しています。これらはどうするのでしょうか。

光本氏:主要サービスとしてSTORES.jpと「Shoes of Prey」は展開していく予定です。その他のサービスの今後に関しては、検討の上発表していく予定です。

――スタートトゥデイがこれまでに買収した企業というと、クラウンジュエル(現:ZOZOUSED)だけかと思います。あまり積極的にM&Aする印象がありませんが、今回何が決め手となったのでしょうか。

前澤氏:基本は事業シナジーがないと買収は検討しないのですが、今回の場合は今まで我々がターゲットにしづらかった小規模なブランドや店舗にECのプラットフォームを提供して、動線を作り、つながっていけるということが一番大きくありました。すでにそれを実現しているブラケットと組むのは自然な流れでした。

――STORES.jp以外にも「BASE」やフリーマーケット系のサービスなど、同種のサービスは複数あります。STORES.jpのどういった点を評価されたのでしょうか。

前澤氏:サービスの中身を見ると、凄く分かりやすいし、きれいに構成されています。結局小さな店舗やブランドだと、分かりやすくないとまず使ってもらえません。そういう意味でのセンスがダントツでいいと思いました。

光本氏:「かんたんEC市場」で圧倒的なシェアを作るのが私たちの目的。今後もプレーヤーは増えていくと思いますが、引き続き成長していきます。

――裏側の仕組みに関する連携については話がありましたが、表側、つまりサービス面での連携などで具体的な予定はありますか。

光本氏:可能性としてはいっぱいあると思います。それは随時形にしていきたいと思っています。公開できる部分で言えば、スタートトゥデイがこれから展開する「WEAR」との連携は確実にあると思います。

――WEARは今夏リリースという以上、何も情報がありません。まもなくリリースされると考えていいのでしょうか。もう少し具体的なことを教えて下さい。

前澤:8~9月にはリリースできると思います。ただし詳細は非公開です。今日言えるのは、STORES.jpに店舗を持ってもらえれば、その情報はWEARにも連携されるようになるということでしょうか。WEARのユーザーがSTORES.jpで販売されている商品にたどり着いた場合、その飛び先(リンク)がSTORES.jpになります。

――ブラケットはこれまで資金調達を一度もしていません。増資を引き受けてもらうという選択肢もあったかと思いますが、子会社になることを選んだ理由について教えて下さい。

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