拡張現実で変わる広告--無限の可能性と3つの課題 - (page 3)

現実的な制約

 現時点では、ARのユーザー体験は控えめに言ってもお粗末である。「魔法」が始まる前に、ほとんどのスマートフォンユーザーはアプリをインストールして、スマートフォンを広告の方に向けなければならない。その手法は単純に消費者に多くのことを要求しすぎである。さらに、ARは非常に新しいものなので、消費者の学習曲線はかなり急だ。Google Glassはさまざまなメディアで取り上げられているが、人々が欲しがるかどうかを判断するのは時期尚早だ。

時間

 ARが成功するかどうかは、最も不足しているリソースの1つ、つまり時間にどのような影響を与えるかにかかっている。ARテクノロジが自然な行為やふるまいとつながらなければ、すぐに些細な存在になってしまうだろう。

 新しいテクノロジが登場すると、筆者は必ず次の質問をする。そのテクノロジは、わたしの生活をより楽で効率的なものにしてくれるだろうか。例えば「iPhone」は、筆者がより機敏になり、時間と場所を問わず緊急の質問や問題に対応することを可能にしてくれた。それは良いことでもあり悪いことでもある。しかし、仕事に関して言えば、概ね良いことだと思う(筆者の妻に尋ねたら違う答えが返ってくるかもしれないが)。

 ARについては、生活が今より楽になったり、効率的になったりするとは現時点では思えない。最悪の場合、筆者は「Glasshole」(いつもGoogle Glassと話してばかりで外界に無関心な嫌なやつ)になってしまうかもしれない。良くてもせいぜい、日々の責務から少しの間逃避する機会を与えてくれるだけだろう。

 筆者がやらなければならないのは、一番近いAR対応の広告板の場所を確認して、スマートフォンをその広告板に向けることだけだ。よく考えてみると、IKEAのカタログが送付されてくるのを待てばいいだけの話かもしれない。

 もっといいことを思いついた。大西洋を渡ってイタリアを訪れ、どこかの壁に貼られたGoldステッカーを探してみよう。

Russell Horowitz氏について

 Russell Horowitz氏は、シアトルに拠点を置くモバイルと電話広告の会社Marchexの最高経営責任者(CEO)兼会長。1996年から、デジタル広告とオンラインコマースの最前線に身を置いている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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