広告主がARを試すことが増えているが、それにはもっともな理由がある。常に人を惹き付けるあのクールな要素だ。トヨタ自動車やStarbucks、KelloggはARを試している大企業のほんの一部の例にすぎない。General Millsは2013年の聖パトリックの祝日に、「Lucky Charms」のARキャンペーンを開始した。このキャンペーンでは、アプリをダウンロードして、バーチャルなマシュマロを追跡し、1万ドルの賞金がかかったコンテストに参加することができた。
IKEAは「家具に関するインスピレーションを高める」ため、2013年のカタログにAR機能を追加した。写真の上にスマートフォンをかざすと、たとえばキャビネットの後ろにあるものを見ることができる。IKEAは6月、ARの革新を競うAuggie Awardの最終選考まで残ったが、イタリアの衣料ブランドGold Streetwearのゲリラマーケティングキャンペーンに敗れた。Gold Streetwearはフィレンツェ中の秘密の場所にステッカーを貼った。「スケーターや作家、パルクールランナーだけがよく知っている場所」だという。これらの特別なステッカーの1つを偶然見つけたら、スマートフォンをかざしてみよう。すると、同ブランドのAR体験が始まり、Goldロゴの「G」の文字が精子のように泳ぎ回る(筆者の言葉ではなく、Gold Streetwearがそう説明している)。
これらはすべて素晴らしいことだ。しかし、ARの目新しさが薄れるという不可避の事態が訪れたら、どうなるだろうか。スマートフォンをかざして、別の製品宣伝目的の視覚的オーバーレイが表示されるのを待とうという気になれるだろうか。
広告の目的が人々の注意を引くことであり、このところ人々の注意を引くことがますます困難になっているのだとしたら、ARは次の3つの大きな課題を解決しなければならない。
現在、ARの好機は無限にあるように思える。ARは広告分野で輝きを放つ新しいものだ。輝きを放つ新しいものを嫌いな人などいない。しかし、その輝きは確実に失われていくだろう。最初のうちは、多くの人にAR広告を体験してもらうことができるかもしれないが、そのうちの何人が実際の顧客になるだろうか。これはある意味で、費用対効果の薄い予算支出であり、広告の成果にほとんど影響を及ぼさないが、巨額のお金を動かすために最終的には広告効果の向上を目指さなければならない。
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