Facebookは最近、ひらめきが欠けており、本当に革新的な新しい要素をそのプラットフォームに追加するのではなく、ライバル製品の機能を焼き直してばかりだという批判を受けている。
例えば3週間前にInstagram(Facebookの傘下にある)は、15秒の動画を撮影して共有できる新機能を発表した。これは先行するTwitterの「Vine」やほかのいくつかの動画共有アプリに対抗するものと考えられている。Instagramの共同設立者のKevin Systrom氏は、動画から不鮮明さや手ぶれを減らしたことは「非常に衝撃的だ」としているものの、フィルターや画像安定化機能の追加も画期的なものではない。おそらくInstagramは、写真共有サービスに動画を追加することによって競争についていく必要があり、Facebookはインフラストラクチャー面で支援してそれを実現したのだろう。
Facebookのほかの多くの機能も模倣と見なされるかもしれない。例えばチェックイン機能はFoursquareがほかに先駆けて開発したものであるし、「Poke」はSnapChatが確立した機能だ。Facebookは6月前半に、共通する「#」付きのタグによって関連付けられたアイテムを検索する、Twitterのようなハッシュタグ機能を追加している。
最近になってFacebookは、モバイルアプリを使ってFlipboardのような存在になることを考えていると報じられた。そのモバイルアプリは、複数のソースからの情報をアグリゲートして視覚的に表示し、ユーザーがスワイプとフリップでコンテンツを閲覧できるようにするという。
Facebookというアイデア自体もそれほど独創的なものではない。2004年にハーバード大学の学生だった19歳のMark Zuckerberg氏は、ソーシャルネットワークを作るというアイデアを思いついた。同氏のひらめきには、FriendsterやMySpaceのような原型となるサイトがあったし、ハーバード大学時代の知り合いであるCameron Winklevoss氏、Tyler Winklevoss氏、Divya Narendra氏らと共同で、同大学の学生をつなぐソーシャルネットワークを構築する作業も行っていた。このハーバード大学の同級生3人は、Facebookがそのアイデアとソースコードを盗んだとして訴訟を起こしたが、最終的には同社と和解している。
Facebookに取り組む前に、Zuckerberg氏は複数のソーシャルネットワークサービスの構築をあれこれと試していた。その1つが、2人の学生の写真を並べて比較し、どちらが「hot(すてき)」かを選ぶというウェブサイト「Facemash」だ。Facemashが登場する3年前には、カリフォルニア大学バークレー校出身の2人のエンジニアが「hotornot.com」を作成していた。
同時にほかのサービスも、Facebookが得意としてきた「News Feed」や「Like(いいね)」などをコピーしている。それではFacebookやテクノロジ業界は概して、イノベーターであるというよりも、既存のもののクローンを作ったり改良したりする、便乗を得意とする存在なのだろうか。SlateのFarhad Manjoo氏は、「テクノロジ業界の多くの人々は、イノベーションではなく再発明という簡単にできるやり方を取り入れている」と主張している。
インターネットのTCP/IPプロトコルやDNAの二重らせん、ソーシャルネットの始まりといった、本当の意味でひらめきのある発見やイノベーションはめったに起こらないものであり、生まれるまでに何年もかかるというのが現実だ。革新的に見えるものはほとんどの場合、既存のテクノロジや機能に対する新たな工夫に、幸運と粘り強さが重なったものである。それは、ひらめきの瞬間をもたらす機能やアプリの見事な再発明、あるいは再検討と呼ぶことができる。FlipboardやTwitter、Google、LinkedInと同様の機能をFacebookのほうがより良い形で提供でき、Facebookユーザーがそれを気に入るというのなら、同社はクローンの作成、あるいは合法的な模倣を行うべきだ。
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