Facebookは革新者か、それとも模倣者か--テクノロジ業界におけるイノベーションと模倣 - (page 2)

Dan Farber (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2013年07月08日 07時30分

 最近見つかった1994年のインタビューでSteve Jobs氏が認めているように、製品というのは、すでにあるものの上に構築され、次の世代に取って代わられるにつれて、それを支えている地下の層に埋もれていくものだ。

 「この分野では何かを作り上げても、10年たてば時代遅れになる。たい積岩のようなものだ。山を作っているときに、もっと高くするためにはたい積岩の層を積み上げることになる」(Jobs氏)。Jobs氏がXerox PARCのたい積岩の上に「Macintosh」を作り、MP3プレーヤーや「Napster」の上に「iPod」を作ったように、Zuckerberg氏はほかのソーシャルネットワークによって作られた基盤の上に、自らの帝国を築いている。

 天賦の才能というものがあるならばそれは、たい積岩の中にあってほかの人には見えないものや、その上に出現し始めているものを見いだす能力なのだろう。「iPhone」は見込みのない状態でJobs氏の額から生まれて来たわけではない。いくつかのテクノロジの流れと、Jobs氏のビジョンや意志、そして同氏の集めたチームが1つになって、既存の製品よりはるかに優れたものを部品から作り、さらには新しい部品を作り出したのである。

 大学の寮から始まって以来Facebookを動かしてきたのは、Zuckerberg氏がソーシャルネットワーキングに対する自らのビジョンを実現するために注いできた、強くて飽くことのない情熱だった。同氏はチャンスをとらえて、包括的でグローバルなプラットフォームを組織的に構築することでイノベーションを実現してきたのであり、そのプラットフォームが、インターネットにソーシャルレイヤを溶け込ませ、莫大な数のユーザーへと広げてきた。現時点でFacebookには11億人の登録ユーザー(毎日利用するユーザーは6億5000万人以上)と、直近の四半期における14億6000万ドルという売上高がある。これは、同じテクノロジを利用している同業者にはできなかったことをFacebookが達成してきたということを示している。

 こうした危険を伴う冒険的事業が、新しい、破壊的な掲示板ベースの消費者向けプラットフォームを生み出すことができる。そして、そこには、それらのクローンを作ったり、模倣したりしようと躍起になっている競合のサービスを伴う。プラットフォームは、これら自然発生的に出現したサービスを追いつつ、デザイン、機能、信頼性、価格、便利さの点でブレークスルーを時折起こしたり、期待はずれに終わったりしながら進化を続ける。Zuckerberg氏は「Android」搭載スマートフォンをFacebook用デバイスに変える「Facebook Home」をデザイン面でのブレークスルーであると声高に宣伝していた。しかし、スマートフォンユーザーは自分の時間の23%をFacebookに使っているという主張があるにもかかわらず、Facebook HomeはFacebookユーザーの0.0009%にしか使われていない。

 これまでの結果が精彩を欠いていることを考えれば、Zuckerberg氏とそのチームはひらめきの瞬間を見いだすために、Facebook Homeを作り替える作業を大慌てで進めている可能性が高い。そうした瞬間によってFacebook Homeの地位は、失敗作ではなく革新的で広く人気のあるものへと変わり、Facebookが山の頂上にいる期間を引き延ばすことになるかもしれない。

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Facebookの成功は、インターネット全体に及ぶ巨大なプラットフォームの構築と連動している。
Facebookの成功は、インターネット全体に及ぶ巨大なプラットフォームの構築と連動している。
提供:Facebook

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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