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プレステの中核を担った久夛良木氏と丸山氏が見た“日本のエンターテイメントの生きる道” - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2013年07月02日 15時14分
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障壁がなく、才能のある人が集まれば一気に世界を狙える時代

 話題はゲーム業界の現状について移った。昨今の日本では停滞している感覚もあるが、久夛良木氏はグローバルで見ると、クリエイターも市場も明らかに広がっており、産業全体として活力があるという見方を示す。

 「かつてはPC、そしてコンソールゲーム、ちょっと前はガラケー(フィーチャーフォン)から今はスマートフォンのネイティブアプリにきて、先行きが不透明という意見もあるが、不透明ではない。これだけ可能性が広がっていて何を迷っているんだろうと思う。昔は説得しなくてはいけない人たちや国境などの障壁があったのに、今はない。才能のある人たちがチームを作れば一気に世界を狙えるはず」(久夛良木氏)と説いた。もっともたくさんの可能性あるということは、裏を返せば競争が激しいということでもあり、日本人がグローバル展開のようなスケールの大きいものに慣れておらず遅れているような状況を指摘した。

 丸山氏は、3カ月に1度の四半期決算に見られるような、KPIが重視される短期的な収益に目先が向いている風潮にも懸念を示した。「少なくともPSに関しては短期的なものではなく、それなりに時間はかかった。そうじゃないとちゃんとした物が作れないし狙えない」(丸山氏)とし、日本の企業は短期決戦ではなく、しっかりとした目標を立てた上で、長期的なスパンで取り組むほうが向いているのではないかと語る。

 これを受けて久夛良木氏も「やっぱり、何を作ってどんな夢を実現したいのかが重要。エンターテイメントであれば人をもてなすわけで、どうやって面白いと思ってもらうか、感動させられるか。最近はそういう風に思って作っているのかなと感じてる」といい、クリエイターとして作りたいことややりたいこと、届けたいことの視点に立って取り組むことの重要性を主張するとともに、その目標がハッキリしているならば、今は予算の有無を問わずに多くの人に届けられると、チャンスの広がりがある時代だと改めて主張した。

 最後に黒川氏から2人に対して、次世代ゲーム機であるPS4についてコメントを求めた。久夛良木氏は、E3での発表をネットで見たようで、「こういうふうになるのか。長生きはするもんだなと。親がいなくても子供が育つのかなという、不思議な感覚を持った」と一言。

 もともと初代PSの発売日にはPS2が、PS2の発売日にはPS3のプロジェクトが動いていたことを明かした丸山氏。そしてPS3が発売されるころ、久夛良木氏に対してPS4について聞いたところ「PS4はもう自分ではない」と回答されたという。このことについて久夛良木氏は、もともとPS3のころに“ネットに溶かす”構想を持っていたからだという。クライアントとなる専用の機器がいらずに、全てネットワーク上で処理を行い動作する、今でいうところの“クラウド”にあたる環境になるから、そのような発言をしたと明かした。2008年ごろの当時はクラウドのような構想は理解されなかったとし、PS3の時代に実現したかったとも語った。

 久夛良木氏は、構想していたスピードや時期からはズレがあったものの、同じような考えを持った人が世界中にいたからこそ、当たり前のようにネットで繋がる時代になった。そしてユーザーは単体ハードによるプラットフォームではなく、ネットとアプリケーションで繋がる時代、ネットがプラットフォームになったと主張する。「そこでどんなコンテンツ、エンターテイメントを作り出すかは、みんなの一大イベント。長生きして良かったなと思うぐらいのソフトを作って楽しませてほしい」(久夛良木氏)と、未来に期待を寄せていた。

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