6月10日〜6月16日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
6月10日からAppleの年次開発者イベントWWDC 2013が開催された。Apple、あるいはその他の開発者から新しい情報が大量に報じられ、Appleとそのコミュニティにとって非常に大きな1週間となった。
注目されていた新しいデザインのiOS 7や、音楽定額制サービスiTunes Radio、OS X Mavericks、Haswell搭載でバッテリライフが大幅に伸びたMacBook Air、802.11ac対応で新しいデザインのAir Mac Extreme、そしてプロユーザー待望のMac Proのデザイン披露など、たくさんの新しいニュースが生まれた。
また、NDAの関係で報じられていないが、WWDC期間中開発者はAppleのエンジニアのセミナーやフリーセッションなどを通じて、最新のiOSやOS Xの内部について、新しいAPIについての学びを得ている。新しいOSはいずれも秋に登場予定であり、これに合わせた新しいアプリも登場することになるだろう。
それでは、先週のニュースを見ていこう。
今回のWWDC2013前にも、たくさんの噂や事前情報が流れている。以下に、あらかじめ指摘されていた基調講演での発表内容について先々週までのCNETの記事から抜粋し、列挙しているので、答え合わせをしてみると良さそうだ。多くの指摘の方向性は当たっているが、機能向上や新機能などの詳細には違いが見られる。
今回のWWDCの基調講演の目玉は、なんといってもiOS 7だろう。初代iPhoneがリリースされた2007年以来の大幅なデザイン刷新は、現在のスマートフォンのインターフェイスデザインのトレンドである細いフォントとフラットデザインを取り入れ、他社にはないレイヤー構造を採用した美しい表現に仕上がっている。
デモの印象としては、アニメーション効果が画面遷移や自分が今見ているものの関係性を認識するために利用されたり、デフォルメされすぎていない、意味のある図形の形を残していたり、といった工夫が随所に見られた。iOSがこれまで保ってきた「マニュアルが必要ない、すぐに使いこなせるデザイン」を踏襲するものだ。
またカメラの機能は象徴的だった。スマートフォンで文字の次に最もよく使われる写真というコンテンツに対して、現在のユーザーの使い方、ニーズに応える対応がなされている。
大人気の写真サービスInstagramやこれを追随したTwitterアプリのように、正方形かつエフェクトがかけられるようになった。さらにアルバムもMomentと呼ばれる単位で時間・位置情報を使った分類が行える。さらに、その場にいる人同士で端末のWi-Fiを介して写真を送り合えるAirDropや、フォトストリームの機能向上などがなされた。iOSの機能として、撮影・閲覧・共有という一連の体験が用意されたことになる。
その他にもSiri、Safariなどよく使われる機能が向上しているほか、自動車への統合に関する機能、噂されていたiTunes Radio(iOS 7のサービスとして紹介された)といった新しいアプローチも対応している。
しかし注目したいのは、iCloud KeychainとActivation Lockの2つのセキュリティ機能だ。
前者は、Safariなどでのパスワード管理、クレジットカード番号管理を容易にする機能。後者はiPhoneをロックした際、ロックをかけたiCloudアカウントで解除しなければ端末をクリアできないという盗難・紛失時の対策だ。モバイルデバイスを安心して利用するための大きな2つの問題への対処は、ユーザーからの信頼感を得ることになるだろう。
アップル、「iOS 7」を発表--ユーザーインターフェースを大幅刷新(6月11日)これまでネコ科で統一されてきたOS Xのコードネームは、今回からカリフォルニアの地名を選ぶことになり、その最初はサンフランシスコ半島の太平洋側に位置する、ビッグウェーブが押し寄せるサーフィンの名所が選ばれた。
これまでニーズが大きかったFinderのタブ機能や、ファイルへのタグの付与による分類、完全なマルチディスプレイのサポートといった点をしっかりと押さえながら、タスク管理や高速化されたSafariも含め、OSの構造としてノート型コンピュータのバッテリ消費を抑える工夫を随所に取り入れている点は、モバイル化が進む現在のコンピュータの実情に合わせた対応となる。
また引き続き、iOSとの使い勝手やデータの統合を進めているが、面白いのがiCloud上で動作するようになった生産性アプリケーションスイートiWorkだ。GoogleやMicrosoftもワープロやプレゼンテーションのアプリをブラウザの中で動作させているため、さほど目新しさはないかも知れないが、iCloudの画面にアプリが追加されていく様子を見ると、iCloud向けのアプリストアでもできるんじゃないか、と勘ぐりたくなってしまうのは筆者だけだろうか。
アップル、「OS X Mavericks」を発表--2013年秋に一般提供へ(6月11日)年次アップデートとなったMacBook Airは、インテルの最新コアプロセッサHaswell搭載によって、11インチで5時間から9時間へ、13インチで7時間から12時間へと、大幅にバッテリライフが伸び、「1日電池が持つ」という安心感を与えてくれるようになった。もちろんプロセッサ周辺の省電力機能が有効であることは言うまでもないが、フラッシュストレージを高速化して小型化したり、余ったスペースでバッテリを拡大させたりするなど、同じ筐体の中でバッテリライフ向上に磨きをかけた結果だ。
なお、多くのMacBook Airユーザーから期待されていたディスプレイのRetina化は行われなかった。
アップル、Haswell搭載「MacBook Air」国内でも発売--9万8800円から(6月11日)基調講演の会場で、ロックバンドのライブでもここまで流行らないだろうというほど大きくとどろく重低音。派手なお披露目となったのがプロユーザー待望のハイエンドマシンMac Proだ。体積は1/8に縮小され、空気清浄機、ダースベーダー、ゴミ箱などとネットユーザーから指摘される全く新しいデザインのコンピュータは、これまでのMac Proのように拡張性を筐体の中ではなく、外に求めているのが特徴だ。
3つの独立したThunderBolt 2コントローラーと6つのポートを備え、20Gbpsの高速なデータ転送を実現し、また拡張なしで4Kのディスプレイを3枚表示も、このThunderBolt 2ポートを介して行うことができる。今回ディスプレイのアップデートは行われなかったが、Mac Proが登場する秋には、4K対応の外付けRetinaディスプレイがお目見えするかもしれない。
写真で見る新型「Mac Pro」--円筒形デザインと高速化(6月11日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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