5月20日~5月26日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
Appleの開発者向け会議WWDCが6月10日から開催されるが、例年通り基調講演も同日に行われると見られる。Appleや開発者コミュニティにとって、今年1年、そして向こう数年のトレンドを作る重要な場となるだろう。もちろん、全てのカテゴリについて新製品への期待も高まっているが、プラットホームそのものに引き続き注視していきたいところだ。
アップルの「WWDC」、基調講演は米国時間6月10日に--AllThingsD報道(5月24日)それでは先週のニュースを見ていこう。
先週の大きなトピックは、米国上院の小委員会が、Appleが米国での納税を回避しているのではないか、という指摘がなされ、Appleがこれに反論するという攻防があった。同委員会はこれまでもハイテク企業などの納税に対して調査をしており、Appleも指摘された数ある1社ということになる。
これに対して、AppleはCEOのTim Cook氏やCFOのPeter Oppenheimer氏らが出席し、これに反論した。Cook氏はAppleが米国で最大の法人納税者として、60億ドル近くを支払ったこと、雇用創出を積極的に行っていることをアピールし、「収めるべきものは最後の1ドルまで支払っている」と証言している。
Appleに限らず、グローバルでビジネス展開をする企業にとって、米国外で得た現金を米国に持ち込むことは税務上難しくなっている。Appleも米国外で得た現金を米国内に持ってくることができず、海外に滞留している状態だ。現状生産や市場開拓などについて、当面はまだ米国外の比重が大きいため戦略上の問題はないかもしれないが、今後生産等を米国へのシフトをする場合、米国トップの企業の戦略に注目が集まる。
アップルの租税回避、米上院小委員会が指摘--報告書を提出(5月21日)WWDC 2013でも、何らかの新製品が発表されることになると見られるが、例年はそろそろ新しいプロダクトに関するリーク画像が流出し始める時期と言える。図らずも最近のリーク画像は当たるものが多く、正式な発表前から熱気を帯びる。今年に関しては、既に廉価版のiPhoneなどが先月から指摘されてきたが、以降ぱったりとこうした情報に触れなくなった。
ライバルとなるSamsungは、GALAXY S4を世界各国の市場で発売し、日本でも5月中にデビューする。また廉価版のタブレットと見られるGALAXY Tab 3もアナウンスし、ハイエンドスマートフォン、小型タブレットという2つの成長カテゴリを固めてきた。
Appleは米国市場ではiPhone、iPadともにトップのブランドになったが、特にiPadは価格低下によってシェアと利益率の低下を招いている。またユーザーの満足度についても、1年前より低下するという調査結果が出た。こうした環境から、Appleにとって2013年は大きな変革が求められており、その中核となりそうなのが新しいユーザーインターフェース(UI)デザインを備えたiOS 7となりそうだ。
これまでも触れてきた通り、Appleの昨年の人事によって、これまでプロダクトデザインを担当してきたJonathan Ive氏がソフトウエアでのユーザー体験も担当するようになり、アプリの機能によって現実世界の実物をもしたデザイン手法から、より高い統一感を持つ新しいデザインへの移行が指摘される。
これまでの「フラットデザイン」というキーワードに加えて、先週のニュースでは、「白」「黒」という2つの新しいキーワードが追加され、起伏や光沢に飛んだ世界ではなくなるのではないかと見られている。そしてこうした流れは、iOSだけでなく新しいMac向けのOS Xにも波及していくことになりそうだ。
もちろんソフトウエアのUIはユーザー体験にまつわる様々な要素の1つでしかない。体験の統一感を出すことはAppleが他社以上に得意な分野である。競争力のあるソフトウエアデザインを提示し、開発者とユーザーに魅力を与えられるかどうか、注目したい。
「iPhone」のユーザー満足度が1年前よりも低下--米国顧客満足度調査(5月22日)Apple Storeには不思議な引力がある。Appleの絞り込まれた製品ラインアップの中で、各モデルが発表されるタイミングは年に1回。新しいモノがあるわけではないが、ついつい店頭に立ち寄ってしまう、そんな場所だ。しかしApple製品を彩るサードパーティーのアクセサリなどは細かく編集をかけており、何か新しい楽しいものがありそうな期待感をあおる。
Apple StoreはAppleが提案する新しい商品に触れ、理解してもらうというコミュニケーションの役割がある。iPhoneやiPadなど既存の製品とは全く違う提案は、Apple Storeがなければここまでのスピードでの広がりを見なかっただろう。Apple Store自体の収益性も米国の小売店の中でトップの成績を収めている。1平方フィートあたりの売上は、高級ファッションブランドであるティファニーの2倍となっている。
もちろん販売チャネルはApple Storeだけではないが、Jobs氏の決めぜりふであった「今日から発売」を実現する場でもある。発表されたものがオンラインでなくてもすぐに見られる、すぐに買えるという体験は、ユーザーの購買を楽しいものに変えてくれるからだ。
米国ではクルマで10~20分走るとApple Storeに当たる、と言う状態を整備すべくショッピングモールなどへの出店に取り組んでいる。日本でも独立した店舗の形での出店から量販店の中へのインストア形式での出店が進んでいる。そしてこれらの店舗で、新製品の販売開始を含め、高度な在庫管理が行われている。
しかしApple以外の流通では、その在庫管理のコントロールが完全でない場合もある。例えば、一般の量販店やオンラインストアなどでは、新製品の供給不足以外にも在庫切れを起こすことがあり、新製品登場のサインとされることがある。今回そのサインが点灯したのはMacBook Airだ。
次期「MacBook Air」、登場間近か--米オンライン量販店で現行モデルが在庫切れに(5月20日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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