米国家安全保障局(NSA)は新たに開催された機密報告会議のなかで、米国内の通話を盗聴するうえで裁判所の許可が必要ないことを認めたという。同会議に参加していたJerrold Nadler下院議員(ニューヨーク州、民主党)が語った。
Nadler議員は米国時間6月13日、米連邦議会議員に向けた同会議のなかで、通話内容には「1人のアナリストの判断だけで」アクセスできると告げられたという。
Nadler議員が述べたところによると、NSAが「通話を盗聴」したければ、1名のアナリストの判断があれば十分であり、他に法的許可を一切必要としないと知らされたという。弁護士であり、下院司法委員会のメンバーでもある同議員は「驚がくさせられた」と述べている。
同議員によって公表されたこの内容により、NSAの恐るべき盗聴手法が米国内でどのように運用されているのかについて光が当てられただけでなく、米司法省が連邦監視法をひそかに独自解釈し、何千人ものランクの低いアナリストに通話の盗聴を許可していたことが示唆されている。
本記事の公開を受け、Nadler議員の広報担当者James Owens氏によって翌16日の午前中に提供された声明には、「私が常々確信していた通り、NSAは個別の令状を取得することなく米国人の通話内容を盗聴できないという点を、Obama政権があらためて表明したことに満足している」と記されている。Owens氏は、Nadler議員が言及しているObama政権による確約についてコメントできないと述べるとともに、同議員はインタビューに応じられないと語った。
電話の通話に適用される法的基準は、電子メールメッセージや、テキストメッセージ、インスタントメッセージにも適用されるため、通話の盗聴が可能であるという現実は、NSAが裁判所に出向いて許可を得ずともインターネット上の通信内容にアクセスできるということを意味している。
米国家情報長官のJames Clapper氏は16日に公開した声明で、「1人のアナリストが適切な法的承認なしに国内の通信を傍受できるとする主張は誤りであり、そのようなことは議会にも報告されていない」と述べた。ただし、Clapper氏の声明では「適切な」承認とはどのようなものなのかについて詳細は述べられていない。
The Washington Postは15日、「電話を盗聴し、語られた内容を(データベースに)集積する」という、「NUCLEON」と呼ばれるNSAの極秘プログラムの存在を報道している。同紙によると、Obama政権で諜報関係に携わる上級職員は、「NUCLEONといったコンテンツデータベースに通話や電子メールの内容を集積された米国人がどの程度いるのかについて、大まかな値ですら一切答えようとしなかった」という。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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