6月3日~6月9日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
いよいよ日本時間で今夜6月11日午前2時(米国西海岸時間6月10日10時)より、Appleの年次開発者イベントWWDC 2013の基調講演が行われる。サンフランシスコの会場となるMoscone Centerでは既にAppleのイベント向けの装飾が施され、何が発表されるのかに大きな注目と期待が集まっている。また開発者にとっては、最新のプラットホームを生かしたアプリ開発によって新たなビジネスやアドバンテージを取っていきたいところだ。
WWDCに関する予測や動向を中心に、先週のニュースを見ていこう。
サンフランシスコ・SOMAエリアにあるMoscone Centerで開催されるWWDC 2013。今年も1週間を切ったタイミングから会場の装飾などの準備がスタートしている。既にウェブサイトで公開されているWWDC 2013のバナーが掲出されているほか、会場内では既に披露されることが決まっていたiOS 7、OS X 10.9のバナーも掲出された。
iOS 7のバナーは非常に線の細いフォントで「7」と描かれており、その文字はカラフルなグラデーションを帯びている。また背景は、奥行きのある細かいドットのテクスチャが施されており、Jonathan Ive氏がデザインを手がける初めてのモバイルOSの、全く新しいデザインを想起させてくれる。
OS Xもバナーの中央に同じく細いフォントで「X」と描かれているが、これまでモチーフにされていた宇宙から、どうやら地上の、緑に輝く水面と泡もしくは雲が背景に描かれており、宇宙から地上に帰ってきた、と言うストーリーをうかがわせる。これらが何を意味するのかは、発表内容を待ちたい。
なお今回は、iOS向けにリリースされたアプリ「WWDC」を通じたライブストリームも楽しむ事ができる。デザインはこれまでのAppleが提供してきたアプリの雰囲気と異なり、平坦で白っぽく、またカラフルなアクセントがあるデザインになっている。新しいiOS 7のデザインスキームを想起させてくれる。
アップル、WWDCの公式アプリをリリース(6月3日)WWDC 2013での発表内容の予測記事が先週初めにCNETで配信された。これによると、主な予測は以下の通りである。
デザイン変更は大きなトピックとなるが、新OSとなってソフトウェア基盤が刷新されるということで、各種機能のAPI化による開発者への提供や、機能向上などによる未来に注目すると楽しめるのではないだろうか。今回の発表内容に加えて、Appleが現在機能として提供している他のテクノロジとの組み合わせにも注目すべきかも知れない。
具体的には、例えばSiriを活用するアプリが開発できるようになること。これは、上の予想では今回発表はないと見られているiWatchなどのデバイスが登場する際、音声でアプリを操る手段を提供する事になり、新デバイスより前倒しで開発者に提供するかもしれない。また後で述べるiOSでのウィジェット活用は、より画面の小さなデバイスを音声でコントロールする、と言う文脈にも符合する。
また、各デバイスのiSightカメラのHD化が進むFaceTimeについても、アプリ内でFaceTimeを活用してコミュニケーションを行えるようしたり、3者以上の通話などの更新が期待される。事実、FaceTime以前のビデオ通話アプリiChatでは、ビデオでの4者通話、音声での10者通話ができていたわけだ。
全てが今回明らかになるとは思わないが、ある程度大きな視点で捉えて、Appleが何をしようとしているのかを見ていくと良いだろう。
アップルのWWDC 2013開催目前、期待の発表内容を予想(6月3日)現在「Apple最大の懸念材料」としてスマートフォンやタブレットなどモバイルデバイスの競争力低下が指摘されている。今年はiPhoneに関しては「S」の年となり、全く新しいハードウェアへの期待は大きくないため、ソフトウェアによってその懸念を払拭する環境を作って行かなければならない。
iOS 7には、Appleの向こう数年のモバイル市場における主導権、という重責がかかっている。
CNETの記事でiOS 7への期待として多く挙げられている共通のキーワードは「カスタマイズ」だ。これまでAppleはユーザー体験の共通化、統合を主眼にガイドラインを作成し、アプリ開発者にもそれを守らせることによって「タッチスクリーンのモバイルデバイス」という全く新しいカテゴリを簡単に導入できるようにしてきた。
しかし世界のモバイル市場がタッチスクリーン化されたことで、現在のインターフェースの役割が終わろうとしている。デザインの「モダン化」には、見た目だけでなく、それぞれの人の好みに合わせた使い方を実現できる「自由」も含まれている。
具体的には、カラースキーム、通知センター、ウィジェット、ロック画面といった、ユーザーがよく使う画面や機能をいかに効率的に利用できるようにするか、という点は、AndroidやWindows Phoneと比較して遅れているポイントだ。
記事にも「見た目だけの変更では失望である」とあるように、どちらかというとマイナスからのスタートと考えており、どう追いつくか、どう追い抜くか、注目している。
「iOS 7」に期待する8つのこと--WWDCで登場といわれる新OSを考える(6月8日)今週になって、Sony Music EntertainmentとAppleが音楽ストリーミングサービスに関して合意に達したとの報道がなされた。これにより、世界最大の音楽レーベルUniversal Music、Warner Musicと音楽出版部門Warner/Chappell、そしてSony Musicと音楽出版部門Sony/ATVの3社が揃い、Appleの音楽ストリーミングサービスへの青信号が点ったと見られる。
PandoraやSpotifyなど、既に音楽ストリーミングサービスは多数提供されているが、例えば日本などの市場ではまだサービスが行われておらず、各社とも不完全な状態だ。Appleは現在サービス未提供の国も含め、他社以上に多い市場でのサービス提供を行っていくことになるだろう。
Appleの強みはなんといってもiTunesと、ユーザーがiTunesに構築している音楽ライブラリだろう。
「何を買ったか」は音楽の趣向情報の中でも最も強いものの1つであり、iTunes in the CloudやiTunes Matchなどのクラウドを絡めたiTunesサービスの背景から、有料課金のサービスでなくても、ユーザーが持っている音楽をストリーミングで再生しても大きな問題にならないだろう。
また、iTunes Storeでは、音楽だけでなくミュージックビデオの販売も行っている。デスクトップやテレビで、iRadioからミュージックビデオが流れてくるとすれば、テレビではMTV、インターネットではYouTubeと競合することになる。
アップル、「iRadio」発表に向けワーナーミュージックと契約締結か(6月3日)今回登場すると見られている数少ないハードウェアの中に、MacBook AirとMacBook Proがある。Intelが先頃発表している新しいコアプロセッサ「Haswell」を搭載するアップグレードになると見られている。
Haswellは処理能力向上はもちろんだが、何より注目されているのはそのバッテリ持続時間だ。Intelによると、持続時間は20~30%の向上が見込めるとしており、MacBook Air 11インチで5時間、13インチで7時間の持続時間がそれぞれ、約7時間、約9時間へと伸びる可能性がある。
またMacBook Pro 13インチモデルについては、バッテリの持続時間はもちろんだが、より薄型になり、またフルHDのiSightカメラに変更されると予測されており、携帯性とビデオ会議の質の向上が見込まれている。
WWDCではOS Xの新バージョンも披露される予定で、新しいハードウェアとどのような連携が行われるのか、楽しみなポイントだ。
インテルの次世代クアッドコアプロセッサ「Haswell」--性能を比較(6月3日)WWDCに先立ちTim Cook氏が登壇したD11についての記事が先週も紹介されている。新製品やOSに関する話題には一切答えなかった一方で、苦境に立たされているAppleの現状について、株価が実情を反映していない点に不満を漏らしつつ、未来の製品に関する話題を中心にインタビューが進行した。
Appleとしては、依然強気の姿勢だ。モバイルデバイスに関して苦境が語られているが、最もたくさんのデバイスを売ることではなく、最も優れた製品を作ることに邁進しているというのがCook氏の考えだ。iPodもiPhoneも、最も素晴らしいデバイスを作った結果、最も多く売れたという見方だという。
ただ、Appleとしても、今回のWWDCではないかもしれないが、音楽プレイヤー、スマートフォン、タブレットに続く新しいカテゴリの製品、あるいは既存のカテゴリの再発明となるような製品を送り出さなければ、この強気の姿勢やAppleらしい勝ちパターンを続けることは難しくなってくる。
もちろん、Appleがそれに備えていないわけではないからこその強気なのかもしれないが、消費者としてはそれを早く見たい、と言う声と、金融街からは手遅れにならないうちに早く──という要望が聞こえてくる。
アップルのクックCEOが語ったこと、語らなかったこと--D11インタビューを振り返る(6月3日)WWDC関連以外の話題で、ローカルニュースでも繰り返しとりあげられていたのがApple Campus 2だ。宇宙船を模したデザインが注目されていたが、Appleはこの新社屋による地元クパティーノ市への経済的恩恵についてのアピールを行っている。
周辺道路や公園などの公共整備のコスト拠出、税収増加、雇用創出、地元企業からの購入額の増加などを挙げた。前回ご紹介した通り、Appleは現在租税回避を行ったのではないか、として米国財務省からの追究をかわしたばかりだった。こうした懸念が地元に広がることを防ぎ、友好的にプロジェクトが進められるようにするアピールだった。
また、米国ITCが、Appleを相手取ってSamsungが起こしていた無線関連特許侵害の訴えについて、侵害があったと認定し、AT&TモデルのiPhone 3GS、iPhone 4、iPad、iPad 2の米国での販売を禁止する命令を出した。Appleは上訴もしくは米国政府への救済措置の要請で回避できる可能性がある。
また今回の判断は、AppleがSamsungを特許侵害で訴えていた件とは別の案件となり、こちらは8月に判断が出されることになっている。
アップルを相手取っての電子書籍価格カルテル訴訟、審理開始--米司法省、冒頭陳述内容を公開(6月4日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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