今でもちゃんと動作する「Apple I」は6台しかないと考えられているが、そのうちの1台がドイツで現地時間5月25日に行われたオークションで67万1400ドルの値を付け、過去最高額の記録を更新した。
このコンピュータはWozことSteve Wozniak氏が1976年にSteve Jobs氏の両親のガレージで組み立てたもので、オリジナルのオーナー用マニュアルと、元々の所有者であるFred Hatfield氏にJobs氏が宛てた署名入りの手紙とともに売却された。
この競売を担当したドイツのオークションハウスBrekerは、2012年12月にも別のApple Iを64万ドルで売却している。ここでApple Iの落札額は、Sotheby'sがニューヨークで2012年6月に開催したオークションでの落札額37万4500ドルから大きく跳ね上がった。
競売人のUwe Breker氏は今回出品されたマシンの魅力について、マニアの範疇をはるかに超えるものと述べている。
Breker氏は、The New York Timesが運営するブログBitsの取材に対して次のように語った。「これはアメリカンドリームを表す最高の象徴だ。カリフォルニア出身の2人の大学中退者がアイデアと夢を追い求め、そしてその夢が世界で最も称賛され、成功し、価値のある企業の1社になる」
この「やればできる」という精神は、2012年6月のオークションにおけるSotheby'sの覚書に書かれた、Apple Iの誕生に関する簡単な説明に示されている。
Wozniak氏とJobs氏が1976年にApple IをHomebrew Computer Clubで披露すると、Byte Shopというチェーン店を所有していたPaul Terrell氏以外は誰も取り合わなかった。Terrell氏は1台500ドルで50台のコンピュータを注文したが、回路基板を「Altair」のようなDIYキットとしてではなく完全に組み立てた状態で提供するよう要求した。Jobs氏とWozは何とか30日間で要求された分のコンピュータを製造した。2人は製作を続け、その後すぐに友人たちに売るための50台、さらにベンダーを通じて販売する100台のApple Iを追加で作り、小売価格を666.66ドルとした。この数字は保守的なキリスト教徒から苦情を受けることになったが、33(%)もの大きな利幅をもたらした。
30日間で50台というと、1日あたり約1.67台のApple Iを作ったことになる。現在の価格で考えると、1日で約112万1238ドルの稼ぎだ。それほど悪い話ではない。
Sotheby'sは、実際にまだ動作する6台の他にも、さらに44台のApple Iが存在すると見積もっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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