4月22日~4月28日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
日本はゴールデンウィークの連休に入り、サンフランシスコに訪れる方いらっしゃるのではないだろうか。米国西海岸北部は連日気温が25度まで上がるカラリとした、穏やかな陽気になっている。シリコンバレーまで足を伸ばして、クパティーノのAppleやマウンテンビューのGoogleのキャンパスをのぞいてみてもいいし、4月17日にオープンした体験型科学博物館「Exploratorium」(エクスプロラトリウム)もおすすめだ。
先週のAppleは決算発表が最大のニュースだったと言える。Appleの現状とこれからを占う材料となる。それではニュースを振り返ってみよう。
Appleは米国時間4月23日、2013年第2四半期の決算を発表した。3月30日締めの決算の売上高は436億ドル、利益は95億ドルという結果で、利益はウォール街の予測と一致、売上高はわずかに上回るという結果だった。しかし前年2012年の同期は、より少ない392億ドルの売上高に対して、116億ドルとより高い利益を上げていた。ここに、Appleの現状を読み解くヒントが隠されている。
Appleの各種製品はいずれも素晴らしい売上となっている。iPhoneは3740万台とウォール街の予測を340万台も上回った。iPadも1950万台と予測を上回る結果を残しており、2012年秋に刷新されたこの2つのシリーズの人気は衰えていない。MacやiPodは予測通り、それぞれ390万台と560万台だった。これらの粗利率は38.6%であり、ウォール街としては40%を上回っていると大きな買いの材料になると見ている。
しかし粗利率は今後も低下するトレンドと見ている。というのも、例えばiPadで大きな人気を博しているiPad miniは、9.7インチのiPadよりも価格が安く1台あたりの利益も少ない。こうした廉価版のデバイスが売れていくことは、後に述べるAppleのプラットホームとしては良いことだが、製品のビジネスで成功してきたAppleとしては現在のマーケットの反応のような「売り」の要素になってしまう。噂されている廉価版iPhoneを登場させても同様のトレンドをさらに強めることになるはずだ。
スマートフォンやタブレットはAppleが牽引しながら作り上げてきた市場だ。そして定着し、成熟しつつある。結果、競争は激しくなり、価格の低い製品が好まれる状況だ。こうしたトレンドから再び高い利益率を誇る製品を作り出すには、Tim Cook CEOが指摘する「新しいカテゴリの製品」を送り出すことが分かりやすい。
機は熟しつつある、ということだ。
アップル、第2四半期決算を発表--予測を上回る(4月24日)iPhoneの次期モデルとなるiPhone 5Sについて、Citigroupは出荷の遅れを指摘しているが、それは毎年のことだ。今まで6月発売と見られていたが、これが7月に先延ばしにされるとのこと。あるいは秋まで延びる可能性もあるという。ほとんどのユーザーが2年契約で購入しているため、むやみに発売を早めない方が良いかもしれないが。
大型スクリーンのiPhoneについては、Tim Cook CEOが「トレードオフが存在する限り、より大型のスクリーンを備えたiPhoneを出荷することはない」と指摘している。画面を大きくする事と、「トレードオフ」とは何だろう。3つ想定してみた。
1つ目のトレードオフの要素は、スマートフォンとしてのデザインだろう。
ディスプレイを大きくすれば、消費電力が増える一方、同じ厚みでも搭載できるバッテリ量は増える。ただし、バッテリを搭載すればするほど、端末の重量は重くなる。iPhone 5は4インチクラスにディスプレイを大きくしながら、バッテリを微増にとどめることでiPhone 4Sと比べて端末の従量を大幅に軽くし、薄くしながらも、連続使用時間を据え置くことができた。更なるディスプレイの大型化とデザイン上の解決をどう実現するのかが課題だ。
もう1つは、これはApple自身が課している制約だが、端末の画面解像度の問題。これまでAppleは3度、iPhoneの画面解像度を変更してきた。320×480ピクセルでiPhoneをリリースし、iPhone 4でRetiaディスプレイを搭載することで4倍の解像度である640×960ピクセルへ拡大した。さらにiPhone 5では画面サイズ拡大に伴い、640×1136ピクセルとした。Retinaディスプレイ以降、326ppiを貫いている。
このレギュレーションの中で、画面サイズを拡大させると、iPhone 5の640×1136ピクセルを保つ場合にはRetinaディスプレイの高精細さを下回り、またRetinaディスプレイの326ppiを保つ場合は解像度の変更を余儀なくされる。特に後者は、これはアプリ開発者への大きな負担となるだろう。
筆者の個人的な、ちょっとしたアイデアとして、画面を大きくするのではなく「画面を増やす」という方法もあるかも知れない。MacやiPad、あるいは全く違ったデバイスのディスプレイと連携あるいはスペースをちょこっと拝借して実現する、ということになると思う。
iOSも刷新されることだし、前述の通り、Appleは成熟していない市場への参入を行うとなると、ユーザーが同時に利用するデバイスは増えるわけで、AirPlayの拡張のような方法でさまざまな場所で複数の画面を使いこなすスタイルがあるのではないか、と予測する。
アップル「iPhone 5S」、出荷にさらなる遅れか--Citigroup調査(4月23日)2001年にiPodを発表して以来、AppleにはMacとは違う、よりカジュアルでパーソナルなデジタルデバイスの市場との付き合いを始めるようになった。ここに対して、大きなインパクトを与えたのがデジタルデバイスで扱うコンテンツを管理するiTunes。そしてiTunesを介してコンテンツを販売できるiTunes Storeという新しいプラットホームは、音楽の試聴方法や出会い方を変えてきた。
iTunes Storeでは、初めに音楽を発売し、その後映画の購入とレンタルに対応。iPhone 3GS発売と同時にApp Storeをスタートしてアプリ販売を始めた。その後iBookstoreで電子書籍の管理にも乗りだし、iTunesとは別アプリとなるがMac App Storeを公開して、Macのアプリ流通もiTunes Store流のコンテンツ流通で行うようにした。
つまりiTunesは、デジタルコンテンツをパッケージやメディアの世界からダウンロードに変えるというパラダイムシフトを確実なものとし、また実態のあるメディアではなく「権利」を持つという新しい所有の概念に変えていった、最前線であったと言える。
これからの10年間、何が起きるだろうか。現状、購入とレンタルしかない権利の持ち方が、レコード会社が首を縦に振りながら多様化していくことが考えられる。例えばそれは、共有や購読といったものかもしれない。例えば、アーティストを丸ごと「購読」することで、売り切りのビジネスモデルから脱却することができるようになる。
検索の問題やマーケットごとの対応など、様々な新しい問題に直面しながらも、コンテンツに関する関わり方の革新は、まだ進んでいくのではないだろうか。
例年恒例となるAppleの年次開発者会議WWDCが6月10日から14日までサンフランシスコのモスコーンセンターで行われる。ここはちょうど5月にGoogleが開発者イベント「Google I/O」を開催する場所でもある。例年チケットの売り切れは超大物ロックスター並と言われていたが、今回はそれ以上かも知れない。なんと、約16万円のチケットがわずか2分で売り切れてしまったからだ。
WWDCでは例年、初日の基調講演で新しいOSやプラットホームが発表され、それを含めたセッションやワークショップなどが開催される。おそらく何らかの新製品もアナウンスされることになるだろう。
アップル、開発者会議「WWDC」開催日を明らかに(4月24日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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