高い品質とデザインの両立に定評のある米サンフランシスコの企業Jawboneはこれまで、BluetoothヘッドセットやスピーカーなどのスマートフォンやPCと連携できるデバイスに新しい価値を与えてきた。そんな同社のラインアップの中でも異彩を放っているのがリストバンド型デバイス「UP」だ。
UPは医療用低刺激性ゴムで作られた20g前後のバンドだ。ディスプレイなどは搭載されておらず、アイコンが表示されるLEDランプとボタンしかない、非常にシンプルなデザイン。一見するとガジェットというよりはアクセサリとして成立しうるほどだ。
UPの細いバンドの中には、バッテリ、加速度センサ、バイブレータが内蔵されているだけ。そのためデザインのスマートさと軽さを両立できる。そしてデータの表示は全てアプリに任せるという、スマートフォンを前提としたデバイスであることも特徴だ。歩数表示などができない点はやや物足りなさを感じる場面もあるが、後に述べる同期の手軽さはそれを補って余りある。
このバンドは防水に対応し、普段の活動やスポーツの運動強度や歩数を計測することができる。またジョギングなどのエクササイズの時間を記録・計測するストップウォッチモード、睡眠を計測するモードが用意され、1つのボタンのみで切り替えることができる機能がある。
天気や自分の状態に関係なく、1年中腕に付けっぱなしにしておくことを前提としたライフログデバイスなのだ。
UPはJawboneが提供する無料アプリとデータを連携できる。UPのボタンとは反対側の端はキャップになっており、外すとイヤホンジャックが出てくる。これをスマートフォンに差し込んでアプリを起動すれば、バンドで収集したデータを吸い上げられる仕組みだ。
他社のウェアラブルデバイスでは、Wi-FiやBluetoothなどのワイヤレス機能を内蔵している製品が多く、UPと同様にスマートフォンにデータを取り込む際に物理的に接続せずに同期することができる。Jawboneはこれまでの製品を見ても、身につけるタイプのBluetoothデバイスを知り尽くしたメーカーだ。にもかかわらずUPにはあえてワイヤレス機能を搭載しなかった点は、意外だった。
しかしワイヤレス機能を省くことによって、バンドの小型化と耐久性の向上、そして何より、バッテリ消費をより伸ばせるようになった点が挙げられる。UPは20gの軽量なバンドでありながら、約10日間のバッテリ持続時間を誇る。つまり、1カ月に3回だけ充電すれば、あとは腕に付けっぱなしにしておくことができるのだ。
特にウェアラブルデバイスの場合、常に利用し続けることが前提となるため、できるだけ長い日数持続する製品の方が利便性が高い。UPの場合は月に3回で良いが、もし持続日数が7日の場合は充電回数が4回に増え、4日しか持たないデバイスの場合は7回以上充電しなければならなくなる。これを1年中続けると、その回数の差は歴然としてくる。
筆者の経験上、身につけるデバイスの充電頻度(=面倒臭さ)は、いくらデザインや取得できるデータが魅力的であっても、そのデバイスを使い続けるかどうかに直結する。UPが、得意なBluetoothを捨ててまで、アナログなイヤホンジャックを選んでいる点は、身につけるBluetooth製品を作っていたからこその選択だったと言えるだろう。
なお充電は、付属するUSB-イヤホンジャックの専用ケーブルを利用する。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス