インターネット売上税法案が米国時間5月6日、米上院において2対1を超える賛成多数で可決した。論争の的になっている同法案は、インターネットによる販売に対して州政府の課税を認めるものだ。
この「The Marketplace Fairness Act(市場公正法案)」は、州政府がオンライン販売業者らに対し、州外での特定のオンライン販売に対して売上税と使用税の徴収を要求できるようにするもので、超党派による投票の結果、69対27で可決した。同法案は、Barack Obama米大統領の支持を既に受けており、今後は米下院へ送られる。
米最高裁判所は1992年に、州外で販売する小売業者が十分な企業プレゼンスを確立している場合を除き、通常は税金を徴収する必要がないことを認めており、今回の法案が下院で可決されれば、最高裁判所によるこうした判断を覆すことになる。正式には「S.743」として知られる同法案には、年間売上高が100万ドル未満の企業を除外するという規定が盛り込まれている。
Walmartはじめとする市場公正法案の支持者の主張によると、オンライン販売業者は決済時に売上税を徴収していないことが往々にしてあり、そのため、競争力の面で大規模小売店よりも不公正に優位に立っているという。また、同法案を支持する企業グループThe Marketplace Fairness Coalitionによると、この法律は「市場機会を公正化」するという。
一方、反対派は、同法案が米国の消費者に対する数十億ドル規模の増税に等しいと述べている。全米納税者連盟(NTU)は3月、議会に提出する請願書を作成し、この中で、今回の売上税が「事実上、インターネット上に州の収税官を派遣する手段にすぎない」と述べていた。また、保守系15団体も、インターネット税法が「保守主義の原則と小さな政府という大義にとって、悪いニュースである」とする書簡を複数の議員に送っている。
法案をめぐる熾烈な戦いは、上院で投票を迎えるまでの数週間に、インターネット小売業者の間でも勃発していた。eBayの最高経営責任者(CEO)であるJohn Donahoe氏は4月、同オンラインオークションサイトのユーザーに対し、下院議員らに向けて同法案への反対意思を表明するよう促す電子メールを送付した。同氏は、提案されている課税は小規模小売業者に不合理な負担を負わせると主張した。
「この法案は、小規模販売業者も、例えばアマゾンなどの、数十億ドル規模のオンライン小売業者もまったく同一に扱う」と、Donahoe氏はこの電子メールに記している。「この変化を要求する人々は、皆さんのような小規模小売業者に課せられる負担が、全米規模の大規模小売業者に対する負担よりもはるかに重くなるということを認めようとしない」(Donahoe氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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