独占禁止法をめぐる激しい論争の的となっていたGoogleは、同社検索事業の支配的な地位に対する欧州の懸念を緩和するための同社の計画を示した。
欧州委員会(EC)は2013年3月、Googleが検索における「同社の支配的地位を乱用している恐れ」を懸念していると発表した。Googleが検索結果において、「Shopping」などの同社独自のサービスを競合企業よりも上位に表示することで、競合企業へのトラフィックを抑え、消費者の選択肢を制約しているというものだ。
またECは、他社のレビューを同社独自の特化検索に再利用するなど、Googleがサードパーティーのコンテンツを制作者の同意なく利用していること、広告主らに対して主にまたは排他的にGoogleと事業を行うように契約させていること、広告主がGoogleの競合企業にキャンペーンを移行しにくいようにしていることを懸念しているとも述べていた。
ECは現地時間4月25日、「ECは現段階において、このような慣行は、選択肢を狭め、特化検索サービスやオンライン検索広告市場の革新を抑制することによって、消費者に悪影響を与える恐れがあると考えている」と述べた。
ECは現在、ECの懸念を緩和するためにGoogleが提示した一連の対策を公開している。
Googleはまず、同社独自のサービスに関する検索結果をよりわかりやすくラベル付けして何が表示されているのかをユーザーが理解できるようにし、周囲にボックスを配置するなどの何らかの方法でそれらを区別できるようにすることを提案している。また、「同社独自のサービスに近い競合する3つの特化検索サービスへのリンクを、ユーザーにはっきりと見える場所に表示する」ことも約束している。
企業の許可なくコンテンツが再利用されているとする懸念に対しては、Googleは、コンテンツ制作者向けのオプトアウト機能を導入し、ローカル検索などのGoogleサービスに自分のコンテンツを表示しないように指定できるようにすると述べた。オプトアウトを適用しても、そのウェブサイトの検索ランキングに「不当な影響」が生じることはないとGoogleは主張している。
また同社は新聞出版社に対し、「ウェブページごとにそのコンテンツを『Google News』に表示するかどうかを制御するためのメカニズム」を提供する。これによって、コンテンツがGoogle Newsに表示されることに対する報酬を出版社に支払うために「Google税」を導入する必要があるのではないかという、欧州における継続的な論争に対処するつもりのようだ。
さらに同社は、ECの怒りを買っている契約上の義務を廃止する。広告主が検索広告キャンペーンを複数の競合するプラットフォームにわたって管理できないようにしていた契約上の義務を廃止し、Google以外で広告を出してはいけないとする明示的または黙示的な広告主との同意を廃止する。
Googleによるすべての約束は、欧州経済領域(EEA)を対象に5年間有効となる予定。
ECは、これらの提案に対する利害関係者からのコメントを1カ月間受け付ける。市場の反応が好意的であれば、ECはこれらの対策に法的拘束力を与える予定である。つまり、Googleがその約束のいずれかを破った場合、Googleには最大で同社年間売上高の10%の違約金が科せられる可能性がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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