夢やビジョンを共有してITバブル乗り越えた--GMO熊谷氏

岩本有平 (編集部)2013年04月11日 18時46分
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 トーマツグループは4月11日、自社イベント「トーマツベンチャーサミット2013」を開催した。ベンチャー起業家や大企業の新規事業部門など、1200人の聴衆の集まった会場の前で、GMOインターネット(GMO) 代表取締役会長兼社長でグループ代表の熊谷正寿氏が「事業拡大の秘訣」と題して基調講演を行った。

 熊谷氏がGMOを創業したのは18年前。過去を振り返り、Microsoft(OS)やNetscape(ブラウザ)、AOL(ISP)、Yahoo(ポータル)、Facebook(SNS)と、その主役が変化していると語り、「短期間にこれほど入れ替わる業界は他にない」と説明する。

 さらに2000年前後、当時ネットエイジ代表取締役だった西川潔氏が提唱した「ビットバレー構想」を紹介。渋谷周辺をシリコンバレーに見立てて渋谷周辺に1500社以上のITベンチャーが集まったと語るも、「当時名刺交換した人やその会社の名前を聞くことすらない。ITバブルを乗り越えて堅調に活動したり、上場したりしているのはわずか」(熊谷氏)


GMOインターネット代表取締役会長兼社長でグループ代表の熊谷正寿氏

 なぜ熊谷氏のGMOは荒波を乗り越えることができたのか。GMOは6〜7年前、400億円の損失を出し、債務超過で黒字倒産する危機もあった。だが仲間と夢やビジョンを共有することで、その危機も乗り越えてきたのだという。

 熊谷氏は、そのビジョンとして、1998年に定めた「55カ年計画」という超長期計画、そして1995年に定めた社是「スピリットベンチャー宣言(SV宣言)」の2つを紹介した。今回の講演では、そのSV宣言をもとにした同社の団結について語られた。

 グループ約3200人を要するGMO。全体会や各部署で唱和されているというSV宣言の内容は、夢、ビジョン、フィロソフィー、経営マインドの4つの要素があるという。

 まず夢だが、熊谷氏は生き方のポリシーとして、「誰も寿命があるので、時間を費やすということは命を削っている」という。そのため、夢を持つ、何に人生を捧げるのかということを真剣に考える必要があると説明。また何事でも「1番」になる、それも2番と近いのではなく、圧倒的な1番でなければならないとした。

 ビジョンとしては、もともと「会社は利益を求めるための道具」と思って起業したという熊谷氏。だがあるときから、「会社は関わる仲間や株主、お客の幸せのための道具。利益は結果としてついてくる」と考えるようになった。

 また会社が「何のために存在するか」というフィロソフィー、これまでの経営から学んだノウハウや基本的な行動理念などをまとめた、経営マインドなども書かれているという。

 次に熊谷氏は、最も長く続いている会社は何かと考える中、何よりも宗教が長く続いている組織ではないかという結論に達したと説明。そこには、5つの共通点があったと自説を語った。

 それは(1)定期的に集まる、(2)同じ物を読む(歌う)、(3)同じポーズをする、(4)同じ物を身につける、(5)神話がある——の5つだ。GMOでは、これを今の社内に様々な形で取り入れているという。(1)は全体集会、(2)はSV宣言、(3)についてもポーズがあり、(4)としては社員章を備える。そして、(5)にある神話になるような企業を目指すということだ。「命をかけて作ったのだから。100年単位で長く続く良いグループ(会社)を作りたいと心から思っている」(熊谷氏)

 また熊谷氏は世界で7212社ある200年以上続いている企業の3000社以上が日本に存在し、なおかつ日本で100年以上続いている会社の77%に社是や社訓があると説明。先ほどの宗教の例について「カルトチックと思う皆さんはいるかも知れないが」と前置きした上で、長く続く会社が同じ方向を向いているということ、またその考えに沿ったGMOがネットバブルを生き残ってきたと説明した。

 熊谷氏は最後に、自身の座右の銘を語った。

 「夢あるところに行動ある。 行動は習慣を作り、習慣は人格を作り、人格は運命を作る」

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