電子書籍の先駆け「ビューン」の次なる一手--蓮実社長に聞く - (page 2)

藤井涼 (編集部)2013年04月09日 12時03分

 いまiPadを持っている方というのは比較的購買力のある30~40代が多く、ビューンの顧客も30代以上の男性が中心となっています。また、1年近く継続してご利用いただいてる方が多いのも特徴です。そういった方たちに次に何を提供すれば喜んでもらえるかと考えたときに、まずはビューンの中のサービスを充実させることが重要だと思いました。

  • 月額450円で100冊以上のコミックが読み放題に

 そこで、まずは30代以上の男性へ訴求する雑誌を増やしましょうということで、「FLASH」や「週刊アサヒ芸能」を新たに加えるなどしてラインアップを充実させました。もう1つは私くらいの年齢の男性がほしいもの。雑誌の次にほしいのはコミック、それもONE PIECEなどではなく、麻雀やゴルゴ13など大人が読めるコミックだと思いました。まずはやってみようという気持ちで提供したところ、予想以上に反響があり、想定の数倍以上利用されています。

――今後も30代以上のユーザーに訴求していくのでしょうか。それとも、ターゲット層を広げていくのでしょうか。

 どちらもやっていくつもりです。まずは支持していただいている30代以上の男性ユーザー向けのサービスを充実させていきます。ただし、そこにも限界があります。表現がキャリアみたいになってしまいますが、ARPU(加入者1人あたりの月間売上高)をどう上げるのかということと、新規顧客をどう広げるかということ、これを同時に進めていきます。ARPUという意味ではコミックなど、より課金していただけるコンテンツを増やします。一方で、今回ご紹介したマイビューンのようなサービスはまさしく新規顧客に向けたものですね。こちらではもう少し下の年代にも訴求できると思っています。

 また、ビューンの中で広告なども展開していければと思っています。日本と米国のiPadの最大の違いの1つは広告なんですね。米国ではiAdなどのiPad最適化広告にものすごくいい値段がついています。インタラクティブな広告を購買力のある方が多いiPadに向けて配信できるわけですから。ですが日本ではまだ伸びきれていません。ビューンとしては、30代以上のそれなりに購買力のある方がユーザーなので、そこに対していい広告なり従来の携帯広告にはないものを提供したいと思っています。私の中では面白いと思えば広告もコンテンツも関係なくて、見ている方がお金を支払っていただけるものの1つに広告があってもいいとは思います。

――ソフトバンクでは「スマートブックストア」など、他の電子書籍サービスも提供しています。ビューンはどのような位置づけになるのでしょうか。

  • ソフトバンクの「スマートブックストア」

 ビューンは初代iPadの日本発売にあわせて生まれたこともあり、やはりタブレットに特化したいいサービスを作ろうという思いが根底にあります。また当初から、ユーザーとメディア企業の、電子書籍へのハードルを低くしたいという思いがありました。

 まず、ユーザーに対してですが、ビューンは初回の起動時に課金の作業は発生しますが、1度課金すれば1冊ずつ買わなくても、少なくとも50以上の雑誌を読めて、もう1度課金すると100冊以上の漫画を読むことができます。この異常なまでの手軽さが自社を含めて他の売り切りサービスにはない魅力だと思っています。

 一方で、メディア企業の皆さんには、雑誌をあえて加工せずPDFというそのままの形でユーザーに届けることができ、収益についても広告ではなくしっかり課金としてお返しできるということです。ですので、自社の電子書籍サービスとの棲み分けはできていると考えています。

――ビューンは定額の読み放題サービスですが、今後は売り切りモデルと定額モデルのどちらが主流になると考えていますか。

 読む人にとってはどちらでもいいのだと思います。映画のDVDがほしければ買う人もいますし、観るだけで十分ならレンタルショップへいく人もいます。そこは多様化していくのだと思います。我々が売り切りモデルを始めることもできますが、いままさに売り切りモデルの市場は“レッドオーシャン”と化しています。おそらく、読み放題については、まだ知見をためている我々が戦える領域だと思っています。また、2012年のiPadの総合売上ランキングでも3位にランクインしていますので、当面このモデルの需要はあると思っています。

――最後に今後の展開について教えて下さい。

 ビューンは、日本においてはiPadとiPhoneの売上げでトップを走っているソフトバンクの重要なコンテンツの1つを担っていると思っています。ですので、いろいろな意味で新しいことをやっていかないといけないと思っています。2013年度は、この3年間でためてきたものをどんどんアウトプットしていきたいと思っていますので、ユーザーの皆さんにもぜひ使っていただきたいですね。

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