米国時間3月11日に発表された調査結果によると、Facebook上でユーザーがクリックする「Like(いいね!)」によって、意図せぬところで性格や性的指向、知性などが明らかになってしまう可能性があるという。
ケンブリッジ大学の研究者らによると、Facebook上で5万8000人のユーザーのLikeを調査することによって、ユーザーのIQや性別、性的指向、政治的および宗教的信念、さらには薬物使用までもを80%以上の精度で特定することができたという。
研究者は検討対象の確率変数の数を減らすモデルを使って、Facebook上での写真や友達の近況アップデート、さらにスポーツやミュージシャン、書籍のページなどに対する支持表明を分析した。それを、ユーザーが提供した人口統計学的プロフィールやそのほかの精神測定テストと比較したところ、自分たちが性的指向を88%、民族性を95%、政治的傾向を85%の確率で正しく予測していたことが分かったという。
11日に「Proceedings of the National Academy of Sciences(米国科学アカデミー紀要)」で発表された今回の調査で、研究者らは「人間行動に関する比較的基本的なデジタル記録を利用することで、人々が通常、他人には公開されないと見なしているさまざまな個人的属性をどの程度まで自動的かつ正確に予測できるのかを、本調査は示している」と述べている。
さらに、「Likeは、ウェブ検索クエリやウェブ閲覧履歴、クレジットカード利用明細と同様に、非常に多くの属性をうかがい知ることのできるデジタル記録だ。こうしたほかの情報源と対照的に、FacebookのLikeは、現状ではデフォルトで一般に公開されているという点で、例外的な存在である」としている。
研究者らは、属性や好みを予測してさまざまな製品やサービスの向上に活用できる可能性を認めてはいるものの、特にデジタル記録が個人への通知や承諾なしに分析されることを考えると、予測可能性モデルにはかなり否定的な意味合いがある、と指摘した。
「営利企業や政府機関、さらにはFacebookの友達でさえ、ソフトウェアを使って、個人が共有を意図していないかもしれない知性や性的指向、政治的見解などの属性を推測できてしまう可能性がある」と研究者らは結論付けている。「そうした予測のために、たとえそれが不正確な場合でも、個人の幸福や自由、さらに生命までもが脅威にさらされてしまう状況も考えられる」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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