スマートウォッチは少なくとも、腕に着けるタイプのポケットベルとして基本的なことができる必要がある。それは、電話の呼び出し、ライトアップ、そして着信した通話の発信者の名前やテキストメッセージ、そのほかの基本的なメッセージの表示などだ。理想を言えば、スマートウォッチをヘッドセットと一時的に接続して、電話に出られると良い。Martian Passportでは電話に直接応答できるが、主にそれはスピーカーフォン経由なので、声が聞き取りにくく、使いづらかった。「Android」と「iOS」では、通話とメッセージのスクリーニング機能が充実しているので、スマートウォッチはそれらをより便利に活用できるだろう。
筆者は、ウェアラブルデバイスが1つではなく複数のアプリと連携することを期待している。そしてサポートしているアプリへのソフトウェアフックによって、タッチか音声、あるいはその両方によるやり取りを可能にしてほしい。これまで見てきたスマートウォッチの大部分は、いくつかの機能に特化された専用アプリしか使えなかった。AppleならiOSに、深いレベルのiWatchサポートを搭載することや、ほかのアプリ開発者に、SDKを使ってスマートウォッチ対応アプリを作ってもらうこともできる。モーショントラッキング機能を使ったゲームや、医療技術メーカーが開発するiWatch経由で機能するモニタリングシステム、あるいはそのほかの野外でのニーズ(スポーツ、旅行、天気など)に合わせたスマートウォッチ用アプリなどを想像してみよう。自分のスマートウォッチでセカンドスクリーン向けの最新情報を受け取れば、スポーツイベントの経過を知ることができる。自分用に調整したTwitterやインスタントメッセージのフィードを読み込んでもいいし、スマートウォッチをリモートコントローラに、または身に着けられるベビーモニター用スクリーンにすることもできる。スマートウォッチがその定義上のニッチな役割から飛び出して、大人気デバイスになる方法があるとすれば、それはアプリのサポートによるものだ。
健康状態をモニタリングする機能のないスマートウォッチは、2013年には流れに乗り遅れた感じがする。Martian Passportには多くの機能があったが、本物の歩数計はなかった。古いクリップオン方式のiPad nanoには、Nikeサービスのサポートと歩数計があり、これらはこのiPad nanoの数少ない利点だったが、Bluetoothをサポートしていなかった。スマートウォッチは、モーショントラッキングやコーチング機能、そして、できれば血圧計や体重計、そのほかにも使いたい機器があればそれらからのデータを集める方法をサポートするべきである。この点でスマートウォッチは、周囲にスマートフォンがない時でも単独で動作し、あとで同期できるようにするべきだ(「Fitbit」のように)。
これを過小評価してはいけない。ウェアラブルデバイスはファッションの一部だ。「Google Glass」についての議論の半分は、それをかけるとマニアに見えるか、それとも洗練されて見えるかという点にあることを考えてほしい。時計はすでに必要なものではなくなり、メガネのように、見た目で選ばれるようになっている。Appleの製品なら、デザインの点では最高点を取るだろうという期待が初めからあるので、iWatchのハードルはかなり高くなっている。筆者がこれまでに見たスマートウォッチの中では、Martian PassportとiPod nanoだけが格好の良いスマートウォッチだ。
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