Appleが「iWatch」の開発に熱心に取り組んでいるとしたら、同社は既存のスマートウォッチのメーカーを悩ませているバッテリの問題を克服する必要があるだろう。
腕に着けるこの新しい種類のデバイスは、おなじみの「Timex」よりも、スマートフォンとの共通点の方がはるかに多い。スマートウォッチのディスプレイは次第に大きくなってきており、通知メッセージやそのほかのデータを伝えることができるので、スマートフォンのセカンドスクリーンのような機能を果たす。最新モデルの多くでは、そうした非常に便利な製品にも必ず1つの妥協点がある。1日の終わりには、充電しなければならないのだ。
スマートフォンを毎日充電することにはいらだちを感じるときもあるが、ほとんどの人はそれに慣れている。しかし腕時計はまったく別物だ。現在のデジタル腕時計は、20年前のものとほとんど設計が変わっておらず、1回の電池交換で何年も動き続ける。それが長年変わらなかったのは、そうした腕時計は時間を知らせること以外にはほとんど何の機能もないからだ。
企業はチップやスクリーンの電力消費量を削減するためにできる限りのことをしているが、ほかの主要な携帯デバイス用部品が経験してきた技術的大転換を、バッテリは経験していないという事実に変わりはない。1回の充電でデバイスを数日間、あるいは数週間稼働させ、なおかつサイズを小さく抑えるようなバッテリ容量の向上は実現していない。
IHS Globalの主席アナリストのSatoru Rick Oyama氏は、スマートフォンの場合、メーカーは搭載するバッテリの容量を増やすことで電力の問題に対応してきたと語る。企業はバッテリ容量を1000mAhから1500mAhへと増加させており、すぐに2000mAhが標準になるだろうとOyama氏は言う。こうした大容量バッテリにはデメリットもある。バッテリパックのサイズが大きくなりがちだということだ。
そうしたバッテリ容量の増加が何とかうまくいっているのは、サムスンなどのメーカーのスマートフォンが大型化し始めたことで、デバイス内部にバッテリ用のスペースが増えたためだ。さらには、Motorolaの「DROID RAZR MAXX」のような極端な例もある。このデバイスは、3300mAhという、標準的な「DROID RAZR」に搭載されているバッテリより85%大きいバッテリを備えている。ポケットやハンドバッグに入れることのできるデバイスならそれで良いが、人間の腕に着けるとなると制約がある。
サイズを小さくした場合の効果はどれほどかを最も明確に示した例の1つが、Appleの「iPod nano」第6世代だろう。これは、実際に腕時計として宣伝されており、時計の盤面が内蔵されている。内部にあるのは、105mAhという小さなバッテリで、24時間の音楽再生が可能だとされていた。しかし日常的な使用では、内蔵のFMラジオや歩数計を使うと、持続時間はわずか数日だった。2012年10月に発売された最新モデルでは、腕時計のアイデアは完全に廃止されている。
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