UPDATE ソーシャルネットワーク大手のFacebookは米国時間2月28日、Microsoftのオンライン広告プラットフォーム「Atlas」を買収することで合意したと発表した。数カ月にわたって憶測が広がっていたが、これによりFacebookはディスプレイ広告事業でGoogleに対抗する能力を高めることになる。
買収の条件は明かされなかった。買収の影響を受ける従業員の数も両社は明らかにしていない。ただし、Facebookによると、Atlas従業員はシアトルに残る予定だという。
すでに複数の事業で提携しているFacebookとMicrosoftは、広告主による広告の購入や管理を支援するAtlasの買収について2012年末に協議を開始した。今回の買収は、広告主や広告代理店がウェブ全体で広告を購入、販売、最適化、追跡するための一元化されたプラットフォームをFacebookが独自に構築する助けになるかもしれない。Facebookはこの買収によって、同社が把握したユーザーの交友に基づいて広告をターゲット化したり、ソーシャル活動が消費者による購入にどう影響するかについて理解を深めたりするためのツールをマーケティング担当者に提供できるようになる。
Facebookが自社サービスの外で広告を販売できる広告ネットワークを構築するという見方は少し前から出ていたことで、理にかなった動きだ。同社はすでに「Facebook Connect」を通じて膨大な数のウェブサイトと連携しており、ユーザーがサイト上でアイテムを共有したりアイテムに対して「いいね!」をクリックしたりするたびに、Facebookが蓄積するデータ量は少しずつ大きくなっている。同社はこうしたデータをFacebook内のデータ(ソーシャルグラフ)と連携させることによって、Googleの「AdSense」以上の効果を発揮する可能性を秘めたソーシャル広告ネットワークを構築できる。
ウォール街は以前からFacebookがこうすることを望んでいたが、この件について同社幹部は沈黙を守っていた。Facebookにとって今回の買収は、同社のサイト自体をいじくりまわさずに事業を拡大できる合理的な方法だ。サードパーティーの広告ネットワークは数十億ドル規模のビジネスになる可能性があり、財務面でFacebookにかかる圧力は強い。同社の株価は現在27ドル前後を推移しており、IPO価格の38ドルはまだ回復していない。
この買収はMicrosoftにとって、Atlasを所有していたaQuantiveを2007年に60億ドルで買収した当時の路線からさらに一歩距離を置く動きだ。Microsoftは買収費用のほとんどを2012年7月に減損処理していた。
Microsoftはオンライン広告から身を引くわけではない。だが同社は、広告技術およびツールプラットフォームを単体で所有するよりも、「Windows 8」や「Surface」タブレット、そして、「Xbox Live」「Skype」など、広告プラットフォームとなる機器やサービスの構築に力を入れている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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