Craft Coffeeの創業者でCEO、Michael Horn氏は弁護士だったが、シードアクセラレーターの500 Startupsを通じて起業し、現在のコーヒーの定期販売ビジネスを確立した。
Horn氏がコーヒービジネスの可能性と出会ったのはロースクールに通っている頃だった。近所にスタバがなく、たまたま見つけた「Gimmie! Coffee」という地元のカフェの味に感動したのだという。Gimmie! Coffeeが取り扱っているコーヒーは生産地や豆の種類が違い、それぞれの豆に個性があり、また誰がどのように育てたのか、というストーリーが備わっている。そんな“ストーリー”をどのように伝えるかというところから、Craft Coffeeを設計し始めたそうだ。
Gimmie! Coffeeは筆者もニューヨークで試したが、オレンジのようなフルーティーな甘酸っぱい味には驚かされた。米国に来てサード・ウェーブのメッカであるサンフランシスコでもいろいろとコーヒーを試してみたが、今のところ個人的な暫定1位の座は揺るがないというほどおいしかった。
Craft Coffeeの提供に向けて動き出したHorn氏。自身の「コーヒー体験」をサービスへと落とし込む際にその方向性を与えてくれたのは、コーヒー愛飲家へのインタビューだという。
おいしいコーヒーを人々は楽しみたいと考えているが――ちょうど米国における1970年代のころのワインのように――どれがおいしいコーヒーなのかという確固たる価値観がないうちは、どうしても「これがおいしい」と話すことには「おびえ」や「遠慮」が生じる。
そこでCraft Coffeeでは、ニューヨークに居るコーヒーのスペシャリストが毎月厳選したコーヒー豆を3種類飲み比べる、という体験をパッケージにした。これによって、ユーザーは安心しておいしいコーヒーを手にし、さらに飲み比べることで味の違いを学び、自分にとってどんなコーヒーがおいしいのかという価値観を作っていくことができる。
そんな安心感や学びの体験もあり、ウェブサイトを訪れる人の3%が購入するという非常に高いコンバージョンレートを実現しているという。
Horn氏のCraft Coffeeは、彼が発見したコーヒーへの感動と、それを伝えたいという問題意識、そして世の中の人々がコーヒーについて抱えている問題の解決を、定期購読のボックスに詰め込むことに成功した「パッケージの妙」を感じることができる。そして「体験による学び」という要素の存在は、今後非常に重要なキーワードになっていくだろう。
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