ミクシィが自らに課したハードルは高い--新事業「Petite jeté」終了を担当者が語る

岩本有平 (編集部)2013年01月21日 15時00分
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 ミクシィは1月21日、同社が提供しているサブスクリプション型ECの「Petite jeté」について、サービスを終了することを明らかにした。商品の販売は1月分(1月7日~14日に発売)で終了し、2月15日にはサイトで提供してきたログイン機能なども終了する。なお、同事業単体の業績は公開していない。

 Petite jetéは、「働く女性のオフィスカジュアル」をテーマにしたサブスクリプション型のファッションEC。2012年9月から1000ユーザーに限定してサービスを開始した。毎月4200円の定額で、シャツやワンピースなどの商品を複数種類から選んで購入できるというものだった。好みのデザインがなければ、その月は購入しないで「スキップ」することもできた。デザインから素材の調達、縫製から出荷まですべての行程をPetite jetéプロジェクトのメンバーが社外のスタッフと協力して担当した。

「2012年6月に事業を開始し、9月には実際にサービスを提供するに至った。12月末までをフィジビリティスタディ(プロジェクトの実現に向けた調査検討)期間として試験的にサービスを開始したが、現在のサービスコンセプトでは、『mixi』ほどの規模に成長させるのは難しいと判断をした」――Petite jetéプロジェクトをとりまとめる玉井賀子氏はこう説明する。

 Petite jetéがメインターゲットとしたのは、オフィスに行く際のファッションに悩む20代の働く女性たちだ。だがそういった女性へのインタビューなどを通じて分かったのは、「オフィスカジュアルに対する悩みはあるが、結局購入する服は『オフィス向け』なものではない。自分の好みやその時々の懐事情に依存する」ということだったという。

 実際に購入したユーザーは、半数以上がサービスを継続していたという。だがそもそも、オフィスカジュアルに対するニーズ自体が小さかったのだ。4200円という価格設定についても、「特にニットやワンピースなどは『お得感がある』と反響があったが、一方で『似ているデザインが市販されている』『試着できないのに4000円も払えない』と、シビアな声もあった」(玉井氏)という。

 Petite jetéは、ミクシィの新規事業を統括する「イノベーションセンター」発のサービスだ。イノベーションセンターでは、(1)社内公募プロジェクト、(2)mixiに関連した新機能開発、(3)経営陣からの「お題」をもとにしたトップダウン型プロジェクトの3種類の新規事業を手掛けるとしているが、Petite jetéはこの(3)にあたる。ミクシィではこの3種類の新規事業で、mixiや転職サイトの「Find Job!」のような中核となる事業の創出を狙っているという。

 ミクシィ イノベーションセンター長の石井瞬氏は、今回のサービス終了に対して、「結果として厳しい判断になったが、イノベーションセンターとして、1つの方向性を示せた」とポジティブにとらえる。また、中途半端にサービスを継続するのではなく、自ら高いハードルを課して新規事業を進める姿勢を示したと説明する。

 現状mixiとFind Job!の2サービスのみを運用しているミクシィ。長らく同じドメインで事業を続けてきたからか、実はPetite jetéのティザーサイト公開から間もなく、類似ドメインを取得した第三者によって「偽サイト」が作られるという自体にもなっていた。ウェブサービスを手掛ける事業者としては初歩的とも言えるミスだ。こうした失敗がある一方、社外と連携して3カ月でオリジナル商品によるECを展開できたという実績も生まれた。見込みの甘かった点も含めて得られたノウハウを、今後の新規事業に反映させるという。

 また、社内でも新規事業への意欲は高まりつつあるという。「ミクシィでは定常的にプログラミングや経理など、さまざまな勉強会を開催している。その1回として新規事業について説明したところ、通常の勉強会と比較しても多くの人数が集まった。大多数(の社員)が変わったかと言えばまだそうではないが、我々も少しずつ変わっている」(石井氏)。

 イノベーションセンターでは、今後も数カ月ごとに新規事業を発表できる体制作りを目指す。Petite jeté、そしてスマートフォン向け検証サービスの「DeployGate」に続く第3のサービスについては、2月にも提供するとしている。

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