東芝は米国で開催されたイベント「2013 Internatinal CES」において、これまで発表していた84型4K液晶テレビに加え、65型および58型の4K液晶テレビを新たに発表した。
2013年度第1四半期(2013年4〜6月)までに発売する予定だ。
現時点では価格を明らかにしていないが、65型および58型の4K液晶テレビは1インチ1万円の価格設定となることに言及。4Kテレビの低価格化に拍車がかかることを示した。
だが、東芝にとってこの戦略は4Kテレビの普及促進というよりも、東芝による大画面テレビ市場への本格展開という側面の方が強い。
現在、東芝の国内市場における薄型テレビ市場でのシェアは約20%。しかし、51型以上という大画面領域においては、10%のシェアを切っている。
その一方で、51型以上という大画面テレビ市場は急速に拡大しており、この領域での販売台数は2012年下期に2011年上期比で3倍という規模に達しているのだ。
つまり、東芝が今後シェアを拡大するには、大画面テレビ市場でも存在感を発揮する必要があるといえる。
東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 TV商品統括部の本村裕史氏は「大画面戦略には4Kが不可欠だ」とする。
「大画面になり高精細になるほど、感動指数はあがっていく。しかし、55型を超えたあたりから、フルHDでも大画面であるがゆえの画素の粗さが目立ち始める。画素の粗さが目立つこのクラスでも、4Kとすることで高精細化を図ることができ、感動指数を維持することができるようになる」
東芝幹部による4Kテレビの「1インチ1万円」の言葉が先行したことで価格破壊のように受け取られているが、実は東芝の狙いは大画面テレビにおける付加価値戦略にある。
低価格化が進展する大画面テレビ市場に「4K」という付加価値を持ち込むことで、量販店店頭における単価上昇を図ろうというわけだ。
同社では58型以上の出荷台数のうち、2013年度には約40%が4Kになると見ている。そして2014年度には約70%、2015年度には約90%を占めると予測する。
「大画面テレビは4Kが標準——そうした時代がやってくることになる。もはや4Kは次世代テレビではない」と本村氏は断言する。
東芝が4Kに本気なのは、これらの製品群に東芝の特徴ともいえる機能の数々をフル装備で搭載するという点からもわかる。
「4Kテレビの位置づけは、Zシリーズの上位モデル。タイムシフトマシン機能、ざんまいプレイ機能など、東芝が提供するワクワクする機能をそのまま搭載することで、テレビライフを存分に楽しんでもらいたい」と本村氏は語る。
新たな技術を搭載した新製品の場合、コンセプトモデルと位置づけられることも度々である。そこでは余計な機能をつけないというケースも多い。
しかし、東芝では一般的な普及モデルに搭載している機能をそのまま採用することになる。
「ショールームの製品、展示だけの製品にはしない」
こんなところにも、東芝の4Kテレビに対する本気ぶりが感じられる。
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