Facebookのユーザー数の増加を話題に挙げるなど、おかしなことに思えるかもしれない。Facebookの登録ユーザー数は10億人を超え、すでに米国の総人口の3倍以上になっているからだ。しかし、同社がしていることの多くはつまるところ、次の10億人をどうやって増やすか、さらに次の10億人はどうするのか、ということに要約される。
Facebookが米国時間12月4日に行った、モバイル向けの「Messenger」アプリを刷新するという発表が非常に重要であるのはそのためだ。もしそれがうまくいけば(まだ本当に「もしも」の話だが)、Facebookは、これまでソーシャルメディアの流行に逆らって同サービスの使用を拒んできた人々の多くを引き寄せられるかもしれない。同じく重要となるのは、パーソナルコンピュータを使わず、携帯電話から直接オンラインの世界にアクセスしている、世界中の非常に多くの人々との関係を深められることだ。
Facebookの製品担当ディレクターのSam Lessin氏は米CNETとのインタビューで、「多くのユーザーを獲得する非常にすばらしい方法だ」と語った。
Facebookの新しいMessengerアプリは、まず「Android」携帯電話向けに開発されることになっており、当初はインド、インドネシア、オーストラリア、アルゼンチン、ベネズエラ、南アフリカで提供される。これらの地域では、場合によっては今でもFacebookが大きな成長を遂げることが可能だ。
そして重要な点は、Facebookに登録していなくてもそのアプリを使えるということだ。考えてみてほしい。新興工業国に暮らす数多くの人々は、電子メールさえ必要ではなく、名前と電話番号さえあればいいことになる。
そしてスマートフォンも必要ない。Facebookは、フィーチャーフォンを持っている世界中の人々を取り込もうと努力してきた。そして今回の発表は、人々をFacebookという屋根の下に引き入れる新たな取り組みだ。Facebookは約1年半前に、性能で劣る安価な携帯電話を事実上スマートフォンのように機能させる、「Facebook for Every Phone」というアプリをスタートした。このアプリは急速に普及している。Facebookは2012年にラテンアメリカ、アジア、アフリカの約7億5000万人の人々が同アプリを利用すると予想している。
期待しているのはもちろん、Facebookが全世界をつなげるために前進し続ける中で、数億人とは言わないまでも、数千万人の人々が引き寄せられて、実際にFacebookに加わることだ。新しいアプリは入り口となるだけだ。
12月4日の発表には、ほかの面もある。それは、ちょうどその前日に20周年を迎えたショートメッセージサービス(SMS)への直接攻撃だ。同時に、独立型のメッセージングアプリが持つ力をはっきりと示しており、そうしたアプリの一部は、Facebook上や、Appleの「iMessage」を利用する「iOS」ユーザー間で、無料メッセージ機能が提供されている世界においても成功している。
米国のような十分に成長した市場でさえ、特に10代やそれより下の世代の若者が、電子メールではなく、Facebookや、「WhatsApp」「Kik」のようなメッセンジャーサービスを経由してやり取りするという変化が進行中である。あるフリーのアナリストが11月に発表した報告書は、この傾向を裏付けている。米国では、第3四半期のテキストメッセージの利用が減少したのである。
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