国連の国際電気通信連合(ITU)の会議が、1988年に制定された条約を見直すために招集された。この条約は国際電気通信規則(International Telecommunications Regulations)と呼ばれ、国際的な通信トラフィックを統制するものだ。
しかし、12月第2週にドバイで開催される会議に先立ち、一部のテクノロジ企業やインターネットの言論の自由を擁護する団体、欧州議会、米国などが、いま伝えられている一部の提案が成立すると、インターネットの自由が脅かされるだけでなく、国家による高圧的で押しつけがましい規制につながる可能性があると警告した。特に、ロシアの代表が支持している規則の変更は、現在インターネットの標準化を担っている独立団体から権限をITUに移転するものだとして、危機感を高めた。それには次のように記述されている。
加盟国はインターネットを管理する権利を等しく有している。これには、インターネットのIPアドレス、ドメイン名、アドレス指定、識別リソースについての分配、割り当て、再利用に関するものや、基本的なインターネット基盤の運用と開発のサポートに関するものが含まれる」
米CNETがドラフト案の存在を報じたあと、ロシアは文言を変更し、反インターネット色の強かった元の表現を削除した。しかし批評家らは、この文言は加盟国が主なインターネットエンジニアリング資産(ドメイン名、アドレス、IPアドレスなど)の制御権を入手することを国連が後押しするものだという意見を変えていない。
インターネットのアーキテクチャや主要ウェブプロトコルの設計に寄与し、現在はGoogleでインターネットエバンジェリストを務めているVint Cerf氏は今週に入って、インターネットのオープンさが脅かされていると警告した。最も新しいところではTim Berners-Lee氏も警鐘を鳴らしている。同氏は1989年に欧州原子核研究機構(CERN)での先駆的な業績として、World Wide Web(WWW)を発明したことで有名だ。
「これらの既存の枠組みを、迂回しようとせずに使い続けていくことが重要だと思う」とTim Berners-Lee氏はBBCのインタビューで述べた。「これらの機構は何年ものあいだ存在しており、標準を取り扱う別の機構を設立しようとする試みは、人々にとってインターネットシステムの安定性を大きく揺るがす脅威となるだろう」(同氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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