サイバーエージェントの新規会員は1日4万人に--大規模プロモーションに確かな手応え

岩本有平 (編集部)2012年12月07日 10時30分

 1カ月で30億円という巨額の広告費を投下し、スマートフォン向けプラットフォーム「Amebaスマホ」をアピールすると発表したサイバーエージェントだが、一方では広告事業の再強化なども図るとしている。大規模なプロモーションの手応えとやスマートフォンシフトの現状についてサイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏に聞いた。

--発表会の翌日の11月16日から、テレビCMや交通広告を数多く見かけるようになりました。実際CMの効果はどれほどのものでしょうか。

 現在、1日4万人が新規登録してくれている状況です。プロモーションをするのであれば、中途半端にやっても意味はない、ある程度のラインでやらないと変わらないと考えていました。

--積極的なプロモーションは成功しているようですが、これまで発表していたスマートフォン向けサービスの公開スケジュールが遅れているようです。

 確かに進ちょくは相当遅れています。やはりiPhone、Androidの両方に対応する、「ガワ」(ブラウザ機能が中心のネイティブアプリのこと)であってもアプリを作らないといけない、ということもあります。また、開発ラインも大型化してきました。ソーシャルゲームのように3~4人で作ることを考えていたのですが、気づくと人数が増えているケースも少なくありません。


サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏

 ただ、ブラウザベースのサービスでコミュニティを作り、ユーザーを囲っていくという戦略をとっているのは幸い我々だけです。そういう意味ではかなりマイペースでやれると思っています。

 ブログにしてもソーシャルゲームにしても、今まで他社に先行されているところに挑戦してきました。そこで追いつくために払うコストはばく大なものになります。そう考えれば先に始めるメリットは重要です。

 また、スマートフォンに注力した当初、すべてのサービスをスクラッチで作ってきました。ですが途中からは、同じ仕組みでモチーフを変えてサービスを出す、という横展開ができるようになり、一気に開発効率がありました。クオリティに関しても、初期に比べて高くなっています。これからはクオリティ、開発速度ともに勢いをつけていけます。そういう自分たちの苦労もあって「もう(他社が)追いつけないだろうな」というのは分かっています。「型」を作ってしまえばあとはマネジメント能力次第で効率は上がっていくと思います。

--4月の時点で「企画中のサービスは50以上」と話していましたが、現在の開発体制について教えて下さい。

 現在開発ラインは88まで拡大しており、2013年1月までに20サービスを投入する予定です。1ライン大体10人くらいですが、当たっているサービスでは30人規模になるものはあります。「天空のクリスタリア」のようなソーシャルゲームですね。

 内製でこれだけサービスを開発できるのは我々だけではないでしょうか。内製でブラウザベースでサービスを作っていると、(ネイティブアプリほど)大きく失敗しません。仮にサービスが少し失敗しているとなっても改善して立て直しできますし、最悪出し直せるところがあります。もともと「出してからが勝負」と考えていましたが、実際その通りになっています。

 (NHN Japanの)「LINE」のような大当たりはしていませんが、Amebaのコミュニティを見ていただければ、軒並み活性化しているのが分かると思いいます。

 今後は美少女ゲームなどもリリースします。12月10日から提供する「モテキロワイヤル」もブラウザベースのパズルゲームですが、操作は快適です。パズルを達成すると、女の子が「カッコいい」なんていいます(笑)

--今後もサービスは「ブラウザベース」にこだわるのですか。

 もともとパッケージゲームの会社であれば、ネイティブアプリで出すべきです。しかし我々はコミュニティありきなので、ネイティブでは難しいと考えています。もちろんいくつかネイティブアプリも出しますが、多少動きが苦しくてもコミュニティはブラウザでないとできないと思います。

--以前は社長業を1割にして、プロデューサー業に9割の時間を割いていると語っていましたが、この割合は今も同じですか。

 さすがにそれは反省しました。ムキになってやっても効率は上がらないので、今は半々といったところです。また、プロデューサーも育ってきました。今回のCMに出ているようなプロデューサーは、今までは直接の部下でした。ですがもうプロデューサー業を任せられるようになってきました。

 今はさまざなことをルール化しているところです。プロジェクトの期限や予算も、6カ月、9000万円といった形で設定し、それまでにサービスができないのであればリリースしない、会社で説明をする、といった形にしているため、ズルズルと延びることはありません。

 また、リリース時には「K点チェック」と呼ぶ審査もしますし、リリース後も「上場廃止ルール」と呼んでいますが、一定期間に一定のDAUに達しなければサービスをやめるなど、クリエイティビティが守られる範囲でさまざまなことを制度化しています。

 制度も決まり、横展開を進めることで開発の効率が上がってきています。人数を爆発的に増やすという訳ではありませんが、「2年で100プロジェクトを立ち上げる」という目標に向かっています。

 ただ人材に関しては、急激に増やしたこともあり、特別な場合を除いて中途採用を止めています。社内の人の入れ替え、組み替えをやっています。人自体が経営資源です。効率化、最適配置については注力しています。

--CMで12のサービスを紹介していますが、この数は妥当だったのでしょうか。たとえば他社のように、ゲームだけに絞った方が収益に寄与するとも思います。

 最初は12から半分くらいに絞るつもりで撮ってみたんですが、まあまあ面白かったんです。それに「ブログとアメーバピグ」というAmebaのイメージを「コミュニティとゲーム」に変えるあいさつ代わりになるものです。バリエーションの広さを見せた方がいいかと思いました。

 カードバトルゲームのCMだけにするほうが、直接的に収益につながるかも知れません。しかし今回のCMは収益面や会員増以上に、「これからAmebaがどういう方向でやっていく」かというところを見せることが目的としてあります。

 芸能人を使うのではなく、社内のプロデューサーをCMに起用したのはうまくいっているのではないかと思います。今までどうしても中の人の顔が見えませんでした。また、CMを投下する量も半端な数ではないので、伝える骨子をぶらさず、他社と差別化する必要がありました。

 Amebaのサービスの完成度は全然満足できるところまで行っていませんが、少なくともプロモーションという意味ではコンテンツも投下量もよくやったと思います。

--2012年度通期の広告費が67億円というところで、「1カ月で30億円」という数字に戸惑いはなかったのでしょうか。

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