サイバーエージェントは11月15日、新CM発表会を開催した。11月16日より、放送作家の鈴木おさむ氏が企画・制作したテレビCMを全国で放映するほか、交通広告などを展開する。
4月以降、スマートフォンへのシフトを掲げて、続々と提供予定のサービスを告知してきた同社。当初予定から遅れているものの、続々とサービスが立ち上がっている。今回、それらのサービス群を含めたコミュニティ&ゲームSNSを「Amebaスマホ」として打ち出すべく、1カ月間で30億円規模の広告を展開する。
発表会でサイバーエージェント代表取締役社長CEOの藤田晋氏は、国内のスマートフォンユーザーの増加について触れた上で、「我々としては、マスプロモーションに耐えうる人口に達するこの時期に照準を合わせ、社内で多数のコミュニティ、ゲームを1年以上かけて開発してきた。まさに勝負どころを迎えている」と語る。
これまで同社のプロモーションといえば、Amebaブログ、Amebaピグなどが中心だった。だが藤田氏は、「今回のプロモーションを通じて、コミュニティ&ゲームプラットフォームのAmebaに生まれ変わりたい」と語る。
6月にスマートフォンのブラウザ向けサービスを開始して以降、MAUは2倍超の265万人となっている。「コミュニティやゲームが効いてきている」(藤田氏)
提供するスマートフォンのサービス群は、すべて自社開発。開発ラインは88ライン、1ラインが平均10人程度の規模。「アイデアも社内を中心に3000件ほど集め、そこから吟味した。世界でもこんな規模でできる会社はないのではないか」(藤田氏)。この開発体制を整えた結果、社員数も2011年度の1251人から、2517人まで拡大しているという。
11月16日から放送されるテレビCMは、放送作家の鈴木おさむ氏が企画・制作した。すでに提供中のスマートフォン向けコミュニティやゲームのプロデューサーが、鈴木氏のインタビューに答える形でサービスを紹介するものになっている。
藤田氏は「ネット企業がCMをやっているが、なかなか社内の人の顔が見えない。テレビ番組で何度か社内を案内してもらったが、いずれも視聴率が高かったと聞いている。どんな人が働いているのか興味があるのではないか」とコメント。鈴木氏も「農作物でも生産者の顔が見たいという欲求がある。ゲーム、コミュニティもどんな人が作っているか知ると、より身近になる」とした。また、テレビCMにあわせて交通広告も展開していく。
発表会には、Amebaブログに公式ブログを持つタレントの芹那さんとスギちゃんも登場。CMを展開するスマートフォン向けオークションサービス「パシャオク」のデモンストレーションなどが繰り広げられた。2人と鈴木氏が撮影したアイテムは、当日午後3時よりパシャオクに出品されるという。
これまで掲げてきたスマートフォンへのシフトをより明確に打ち出した同社だが、スマートフォン事業でのマネタイズに関しては、ゲームを中心にせざるを得ない状況もかいま見えた。
発表会終了後、藤田氏はAmebaスマホについて「コミュニティをまず強化しようという戦略。集客していけば何らかのマネタイズができるという考え方。その1つがゲーム」と説明したが、実際のところゲームの優先度が高まっていると語る。
ソーシャルゲームでは、今はカードをガチャで購入する、いわゆる「カードバトル」ものが中心。Amebaスマホで展開するゲームに関しては新しい試みに取り組んでいるとするものの、ガチャによる収益モデルから現時点で脱却できていないとした。
だがそうした一方では、スマートフォンのプラットフォーム強化と並行してスマートフォン広告の販売にもより注力していく。10月には広告事業の再強化に向けて組織も変更している。
また最近ではNHN Japanの「LINE」がユーザーを拡大しているが、それに続く形でヤフーが「カカオトーク」と提携し、ディー・エヌ・エーが「comm」を提供するなど、スマートフォン向けのコミュニケーションサービスも続々登場している。サイバーエージェントでのサービス提供については、「年内に通話のないメッセージングサービスは提供する予定。強みは無料で1000種類のスタンプが使えること。あくまで若年層のユーザー獲得ができないかということ。LINEと勝負する気はない」(藤田氏)とした。
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