MicrosoftのSteven Sinofsky氏とAppleのScott Forstall氏は、有能な製品開発リーダーがほかのメンバーとうまくやれない場合にどうなるかというビジネススクールの事例研究において、互いに関連のある人物として今後ずっと扱われるかもしれない。
フランスの田園地帯を駆け抜けるパットン将軍さながら、「Windows」部門を一心不乱に率いてきたSinofsky氏がMicrosoftを退職することは、米国時間11月12日の夜に突然発表された。同社が最近発売した「Windows 8」が成功なのか失敗なのかを判断するには時期尚早だが、米CNETのJay Greene記者が11月12日の夜に書いたように、この発表にはそれほどひどくは驚かされないはずだ。Sinofsky氏はほかの幹部と、そしておそらく最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏とも対立していたし、自分の製品グループの利益を同社のほかの部門よりも優先して考えるといううわさがあった。そうした種類の評判が立つと、雇用期間に終了日を設けられることになりかねない。
Sinofsky氏のMicrosoftでの20年に及ぶキャリアを振り返るにあたっては、「協力」という言葉が多く聞かれることになるだろう。多くの人々の話によると、同氏はそれがあまり得意ではなかった(Greene記者が10月に書いた、Sinofsky氏の人物像を紹介した記事を読んでほしい)。同じように、Appleの「iOS」ソフトウェア責任者のScott Forstall氏は、物事を成し遂げるものの、ほかの製品グループとは協力したがらないことで知られていた。Forstall氏も退職する予定である。
なぜだろうか。簡単な答えとしては、2人は自分たちのCEOにけんかを売って負けたということになる。Forstall氏は、Appleの「Map」アプリの失敗に関する謝罪文への署名を拒んだと報じられている。Sinofsky氏はどうだろうか。詳しいことはまだ分からないが、同氏が引き起こしてきた確執の歴史がBallmer氏にまで及んだのではないだろうか。
そして、もっと難しい答えもある。「どんなことをしてでも完成させろ」というタフなタイプの人と、チーム作りが上手い人(チームビルダー)の間には、常に緊張が生じるものだ。あるいは、大手テクノロジ企業でエンジニアとして数十年働いてきた友人に言わせれば、それは「反抗的なビジョナリー」と「チーム崇拝」の対決ともいうことになる。反抗的なビジョナリーは、会社を動かすエンジンにもなれるが、そこで働くすべての人の悩みの種にもなり得る。いずれ、そうした混乱をじっと我慢する理由は打ち消されてしまう。しかし(この「しかし」は強調したい)、独創的な考え方よりもチームワークを重んじることには、集団思考による平凡さというリスクが伴うことは、だれもが理解している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス