英国控訴院は現地時間11月9日、サムスンの英国での裁判費用を全額支払うようAppleに命じた。これは、Appleが同裁判所に命じられて掲載した声明とも謝罪ともつかない文章に、詳細な記述を付け加えて潤色したことを受けたものだ。同裁判所はこの文章を「誤りであり、誤解を招く」ものだとして強く批判している。
英国控訴院がAppleを厳しく批判し始めたのは、同裁判所がAppleに対し、サムスンが英国で「iPad」を模倣していなかった旨を明記した声明をAppleのウェブサイトおよび英国の多数の出版物に掲載するよう最初に命じてからのことだ。この最初の命令は、サムスンが意匠侵害訴訟で勝訴したことを受けたものだった。
だが、Appleによる中途半端な謝罪文書について英国控訴院に申し立てを行った結果、サムスンは英国での裁判費用を、訴訟開始当初からの分を含めて全額返してもらえることになった。
英国控訴院のRobin Jacob判事は9日に下した新しい裁判所命令の中で、アップルが他地域での裁判、特にAppleが勝訴したドイツ、欧州広域、および米国での類似の裁判を比較に持ち出して英国控訴院での敗色を薄めようとしたと指摘している。Appleの声明には、「同じ意匠に関してドイツで審理された裁判では、サムスンがiPadの意匠を模倣することによって不正な競争に関わったと裁判所は判断した」と書かれていた。
Jacob氏は、この声明を「誤り」だと一蹴している。
「ドイツおよび当地においていかなる種類の意匠も関わりはなく、まして『同じ意匠』などはない」とJacob氏は記している。
また、Appleが同社のウェブサイトに掲載した最初の声明で最も議論を引き起こした部分は、最終段落の次のような記述だった。
英国の裁判所はサムスンに違反行為の罪はないと判断したが、他国の裁判所は、サムスンが「GALAXY」タブレットを製作する過程で、はるかに人気の高いAppleのiPadを意図的に模倣したことを認めている。
Jacob判事はこの記述について、「大きな混乱を引き起こすことを意図したものだ」と述べた上で、次のように付け加えている。「この誤った補足説明では、英国の裁判所が模倣について他と異なる結論を下したとされているが、これは真実ではない。英国の裁判所は模倣についていかなる見解も示していないからだ。また、英国の裁判所の決定が他の国々での決定と食い違っているとするさらに誤った補足説明がなされているが、これは全く真実ではない」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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