「Nexus」タブレットのラインアップを広げたことで、Googleは消費者に向けて「Android」タブレットの素晴らしさを証明しただけなく、開発者にもアピールしている。
Googleとサムスンは「Nexus 10」で、スクリーン解像度と価格の両方について、新しい「iPad」をしのぐタブレットを何とか作り上げた。GoogleとASUSは、「Nexus 7」でストレージ容量を8Gバイト増やしたり、32Gバイトモデルを追加したりしたが、価格は下げた。どちらのモデルも、最近発売された「iPad mini」よりかなり安い。そのメッセージは明確だ。Googleは、タブレットビジネスの足掛かりを得ることに、全力を尽くすつもりだということだ。
残念ながら、Googleにとって引き続き大きな問題となるのは、ハードウェアではなくソフトウェアだ。Androidタブレット専用に作られたアプリが不足しているために、Androidタブレットは消費者に深い印象を与えることに苦労している。そのハードウェアとスペックは、ガジェット好きの人や熱烈なAndroidファンにとっては素晴らしいものだが、大部分の消費者が選ぶのは、最も多くのことができるデバイスだ。
Nexus 10とNexus 7は、タブレット向けアプリをいくらか活性化させるだろうか。Googleは確実にそれを期待している。同社は、Nexus 7が既に開発者の興味をかき立てており、解像度の高いNexus 10は、その勢いを維持していくだろうと考えている。同社は既に、注目のAndroidタブレット向けアプリを紹介するセクションを作っている。
「Google Play」のエンジニアリング担当ディレクターのChris Yerga氏は次のように語っている。「Nexus 7は、タブレットユーザーと開発者の両方に興奮を与えている。われわれはNexus 7の発売以来、開発者がタブレット向けに最適化されたアプリで素晴らしい成功を収めるのを目にしている」
Google Playは、Androidタブレット向けアプリの成功を目にした開発者が自らもそこに飛び込むことで、さらに開発者が増えるという「好循環」から益を得ている、とYerga氏は言う。
しかし、抜きん出た位置にいるのはAppleのようだ。米国時間11月1日、Googleは米CNETに対して、同社のGoogle Playには70万件以上のアプリがあり、AppleのApp Storeを追い上げていると語った。しかし、Google Playはタブレット専用アプリを区別していないが、Appleはその点で、27万5000件という数を誇っている。
Googleは別のセクションでも、タブレットで使いやすいアプリを区別しておらず、反応はあまり良くない。Yerga氏は、Googleは「数字上の競争に加わるつもりはない」が、開発者に自社のツールを使ってもらうことには成功していると語る。
業界観測筋はもう少し批判的だ。Androidタブレットは、「卵が先か、鶏が先か」というジレンマに直面している。これは「Windows Phone 8」や「BlackBerry 10」のような、新進のモバイルOSが取り組んでいるのと同じ問題だ。Androidタブレットを買う消費者がほとんどいなかったとしたら、開発者はなぜタブレット専用アプリを作らなければならないだろうか。
AndroidというOSでは、さまざまなデバイスのサイズに合わせられるアプリを作ることができる。これは、開発者に取ってはより効率的なアプローチだ。
しかしiPadの魅力の1つは、多くのアプリがiPad専用として作られていることだ。そうしたアプリは、大型のディスプレイをうまく利用し、独自の機能を追加することで、「iPhone」用バージョンとの差別化を図っている。それは、多くのAndroidアプリにはない特徴だ。
Lopez ResearchのアナリストであるMaribel Lopez氏は、「iPadの圧倒的な存在感を目にした開発者は、数量を望めるところに向かうものだ」と語る。さらに同氏は、Androidタブレットの分野が本当に動き出すのは、その市場シェアが30%になってからだろうとも述べた。
Yerga氏は、タブレットにより適したアプリの数についてコメントしなかったが、Androidには、デバイスごとに違って見えるアプリを開発者が制作できるツールが含まれていると語った。例えば、スクリーンの広いデバイスで動かす場合に合わせて、複数のパネルを表示したり、より細かい部分を表示できたりするバージョンを制作できる。またそれは、広いスクリーンに合わせて単にアプリを拡大表示するだけではないとも述べた。
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