(編集部注:米CNETによる「iPad mini」のレビューを前編と後編の2回に分けて翻訳して公開します。前編は11月8日に公開されています)
市場に出回っている、より安価なタブレットの多くは、高額な製品ではよくある機能が省かれている。例えば、拡張ストレージや、HDMI出力、背面カメラなどは省かれがちだ。Googleの「Nexus 7」はそういった例に該当する。「iPad mini」は、基本的に通常のiPadが持つ機能はすべて備えている。Bluetooth 4.0、前面および背面カメラ、「Lightning」コネクタからのビデオ出力およびSDカード(写真の読み込み用)、「AirPlay」対応などだ。従来通り、ストレージは拡張できないが、ストレージのオプションは第4世代「iPad」と同じで、16Gバイトモデル、32Gバイトモデル、64Gバイトモデルが用意されている。
由緒あるデュアルコアのA5プロセッサは2011年から出回っており、「iPad 2」から「iPhone 4S」、第5世代「iPod touch」、「Apple TV」まで何にでも使われていた。iPad miniに入っているバージョンは、iPad 2のものに近く、同じ512MバイトのRAMを積んでいる。Retinaではない画面の解像度も、iPad 2と同じ1024×768ピクセルだ。 iPad miniは、まさしくiPad 2を小さくし、再デザインし、強化したものだと言える。または、大きめの第5世代iPod touchだと言えるかもしれない。こちらも非常に似たコンポーネントを持っており、実際基本モデル(32Gバイト)では、iPad miniより30ドル安い(ストレージは2倍)。ただし、iPod touchのスクリーンはRetinaではあるが、4インチしかなく、iPad miniよりも小さいことを考える必要がある。こちらはより窮屈で、読書に向いているとは言えないし、大きな文書やメディア編集アプリを扱うのも大変だ。
A5プロセッサの採用は、性能面から見ると何を意味しているのだろうか。私は、「GarageBand」から、グラフィックを多用するGameloftのゲーム「N.O.V.A 3」「Real Racing 2 HD」や、より標準的なアプリである「Ticket to Ride」「Tweetbot」「Netflix」「HBO GO」「Hulu Plus」「Pages」「iMovie」「Flipboard」に至るまで、多くのゲームやアプリを試してみた。
試してみたアプリは、iPad 2と同じくらいの速度で実行できた。つまり、十分に速いが、驚くほどではなかったということだ。アプリの読み込みは、1.5世代分高速な「A6X」プロセッサを積んだ第4世代iPadと比べて、平均して数秒遅い傾向があった。ウェブページの読み込みは、自宅のFiOS(Verizonのインターネット接続サービス)のネットワークで試してみると、第3世代、第4世代のiPadに比べて数秒遅れた。
「iOS」でよく使われるベンチマーキングアプリであるGeekbenchを実行してみると、iPad miniのスコアが752だったのに対し、iPad 2は755だった。これに比べ、iPhone 5はだいたい1600前後であり(数字が大きいほどよい)、第4世代iPadは1700を超えた。この種の数字は、平均的なアプリの性能に対する感触を反映したものではないが、iPad miniが恐ろしく速いとは言えないことはわかる。
ただし、iPad miniのWi-Fi接続の速度は、全体としてはよくなっている。これは2.5GHzと5GHzの802.11 a/b/g/nデュアルバンドが採用されたためで、この点では以前のiOSデバイスよりも改善されている。iPhone 5と第4世代iPadは、どちらもデュアルバンドを採用している。
iPad miniがiPad 2よりも改善された点の1つが、内蔵カメラだ。iPad miniは5メガピクセルの「iSight」カメラを背面に持ち、前面にFaceTime HDカメラを持っている。これは、第3世代iPad以降のカメラと同じだ。第5世代のiPod touchには、より多くの機能とLEDフラッシュが付いた、これよりもいいカメラが搭載されている。iPad miniのアプリには、HDRやパノラマなどの機能がないが、App Storeで入手できるアプリではこれらの機能も使える。
重要な点は、iPad miniのカメラは、スナップや1080p動画の撮影、高品質なFaceTimeの通話には十分な品質を持っているということだ。これらのカメラは、同じ価格帯のタブレットと比較して平均以上だ。
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