何カ月もじらした末に、「Windows Phone 8」がついに登場した。Microsoftのモバイルへの取り組みが持続力のあるものなのか、それとも短期的な試みに終わってしまう運命にあるのかは、現時点ではまだ分からない。
大規模で派手な「Windows 8」発売イベントがマンハッタンで開催されてからほんの数日後、MicrosoftはWindows Phone 8プラットフォームについても同様のイベントを開催した。そのイベントには、HTCやNokia、サムスン電子などの主要なパートナーも参加し、どの企業も自社の携帯電話を披露した。
Microsoftにとって重要なのは、テクノロジおよび家電製品の世界における同社の将来だ。従来の「Windows」ソフトウェアは今でも同社の稼ぎ頭だが、いまやすべてがモバイルへ移行しつつある。Microsoftはモバイル業界の巨大企業であるAppleとGoogleに追いつくことができなければ、重要でない企業に成り下がってしまう可能性がある。
MicrosoftはWindows 8と「Windows RT」によって、モバイルデバイスへの取り組みを強化しようとしている。最初に標的にしているのはノートPCと「コンバーチブル」、そして、同社独自の「Surface」を含むタブレットだ。それらのOSと同じ多くの視覚的発想や同様の「コア」を共有するWindows Phone 8は、スマートフォンの世界で同じような存在感を構築することを目指すMicrosoftの試みである。
Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏は米国時間10月29日のプレゼンテーションの中で、「もしあなたが2012年にWindows 8を使用する膨大な数のPCユーザーの1人だとしたら、Windows Phone以上にあなたに適した携帯電話はない」と述べた。
MicrosoftはWindows Phone 8のプロモーション費用を惜しむつもりはなく、大規模なキャンペーンの中でWindows Phone 8をWindows 8およびWindows RTと同じファミリーに位置付けている。そのキャンペーンによって、すべてのMicrosoft製品に対して関心が集まることを同社は望んでいる。
Forrester ResearchのアナリストであるCharles Golvin氏は、Microsoftは「Windows 8のマーケティング活動に大規模な投資を行っている」と述べた。「そして同社の戦略は、Windows Phone 8に関して『便乗』戦略を発動することだと私は考えている。つまり、顧客の間でWindows 8の普及と知名度を広めることにより、Windows Phone 8に対する親しみと認知度を高めていくという戦略だ」(Golvin氏)
実際にMicrosoftは、このローンチを大規模に展開する準備ができているようだ。
Ballmer氏は、「テレビをつけたり、雑誌を開いたりすれば、Microsoftの広告が必ず目に入るようになるだろう」と豪語した。
もちろん、Windows 8に対する愛着がWindows Phoneにまで拡大するという保証はない。実際のところ、多くの企業や消費者がWindows 8の急進的で新しい体験に慎重なアプローチを取っている中で、Windows 8自体に対して何らかの愛着が発生するという保証さえない。
消費者と企業へのWindows 8の普及が遅々として進まなかった場合、Windows Phoneの認知度の向上もほとんど見込めないため、Microsoftの戦略は同社にとって裏目に出るかもしれない。
「この戦略にはリスクが伴うと私は考えている。なぜなら、われわれのデータはWindows 8の広範な普及には長い時間がかかることを示しているが、携帯電話およびタブレット市場はすさまじい速さで動いているからだ」(Golvin氏)
Forresterが調査した企業はWindows 8を導入する可能性について、2009年に「Windows 7」に関して同じ質問を受けたときの半分だと述べた。
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