それでもモバイル分野に関して言えば、Microsoftが今より状況を悪化させる可能性はほとんどないだろう。批評家の称賛を受け、Windows Phoneを搭載するスマートフォンの構築および販売に前向きなパートナーが複数いるにもかかわらず、同プラットフォームはこの2年間、大きな成功を収めることができなかった。その代わりに、Appleの「iPhone」とGoogleの「Android」、そして、同OSを搭載する無数の人気スマートフォンによって、打ちのめされ続けている。
問題の1つは、アプリアイコンを碁盤目状に並べる代わりにライブタイルとボールドフォントを採用した、Windows Phoneのユニークなユーザーインターフェース(UI)だ。MicrosoftはAndroidやiPhoneと差別化を図れる自らの能力を誇りに思っており、このUIをスマートフォンの新しい使い方と呼んでいる。
MicrosoftのWindows Phoneプログラム担当ゼネラルマネージャーであるJoe Belfiore氏はプレゼンテーションの中で何度か、「われわれは、皆さんの周りにあるスマートフォンを作り変えたいと考えていた」と述べた。
しかし、ほかと違うということは、スマートフォンが機能する方法に対する消費者の認識や想定から外れていることを意味する。それは、Microsoftと同社のパートナーに常に良い結果をもたらしてきたわけではない。
OvumのアナリストであるNick Dillon氏は、「同ソフトウェアに欠点はほとんどないが、その設計は『アプリを碁盤目状に並べる』ユーザーインターフェースという現状と著しく異なる。そして、この変化は潜在的な顧客にリスクと受け止められるだろう」と述べた。
Nokiaは同社の携帯電話分野のノウハウを利用して、「Lumia」シリーズのスマートフォンを構築し、Windows Phoneの世界を活気付けるはずだった。同社は2012年、「Lumia 900」に関して、AT&Tの支持を取り付けることにも成功した。残念ながら、同スマートフォンはそれほど大きな成功を収められなかった。
「Windows Phone 7」デバイスでWindows Phone 8アップグレードの多くを利用できないこともさらなる悪影響を及ぼしており、実際に同プラットフォームに賭けた数少ない消費者の気分を害している。
ユーザーインターフェースがほかと異なることに加えて、高品質のアプリが不足していることもWindows Phoneを苦しめてきた。一方で、「iOS」とAndroidは膨大な数のアプリを誇っている。
Microsoftはイベントの中で、その問題に直接言及した。Belfiore氏は、同社アプリストアのアプリ件数が12万件を突破し、この2年間で非常に急速な成長を遂げている、と豪語した。
もっと重要なことに、最も人気のあるアプリ50件のうち46件がWindows Phoneで利用できるようになる。それには、Twitterの新バージョンや「UrbanSpoon」、さらには「Temple Run」のようなゲームが含まれる。Windows Phoneユーザーは2013年に、広告なしの「Pandora」を1年間無料で利用できるようになる見通しだ。
Belfiore氏は、拡大された「People Hub」サービスを含むさまざまな機能を聴衆に紹介したほか、自身の子どもをステージに登場させて、「Kid's Corner」機能のデモも行った。
さらにMicrosoftは、同プラットフォームの利用可能性の拡大にも努めており、サポートする言語の数を2倍の50言語に、そして、同社のアプリストアにアクセスできる国の数を3倍の191カ国にまで増やした。
実際のところ、MicrosoftはWindows Phone 8を可能な限り魅力的なものにするために、さまざまな努力をしてきた。そして、同社は携帯電話メーカーや通信キャリアといった重要なパートナーの支持を得ているようだ。Ballmer氏自身がNokiaの「Lumia 920」を使用し、Belfiore氏はHTCの「Windows Phone 8X」デバイスを使っていた。
Altman VilandrieのコンサルタントであるSoumen Ganguly氏は、「NokiaはLumiaシリーズで市場への浸透を試み、ほかの主要な携帯電話ベンダーはWindows Phone 8がAndroidの代わりの選択肢になることを期待している。そうした状況を考えると、Windows Phone 8は2013年に真価を発揮するはずだ」と述べた。
今Microsoftに必要なのは、消費者に注目してもらうことである。Windows Phoneの近年の歴史は、それが常に簡単なわけではなかったことを示している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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