Amazonはライバルの電子書籍ストアに対して、定期的に価格を調査するプログラムを稼動させており、自社ストアより安く売られているコンテンツを発見すると、自社ストアの価格を自動的に下げる仕組みを導入しているようだ。
Amazonとの秘密保持契約(NDA)があるため、表には出てきていないが、例えばQ&AサイトのQuoraには、この仕組みを説明する投稿が発見できる。
また、筆者が入手したAmazonの契約案(2011年3月に出版社に提示したもの)にも、以下の様な文言が見られる。
価格 i. 紙書籍 本件電子書籍の希望小売価格の税込価格が該当国における当該本件電子書籍の紙書籍版の最も低い希望小売価格(または定価)を超過する場合、当該電子書籍の希望小売価格の税込価格は、同日付で当該価格と同額とみなされるものとする。 ii. 電子書籍 本件電子書籍の希望小売価格が、本件電子書籍の該当国の類似サービスにおける希望小売価格(税抜)を超過する場合、出版社は速やかにAmazonに対し書面で通知するものとし、当該本件電子書籍の希望小売価格は、同日付で当該価格と同額とみなされるものとする。
上記の契約案では、「希望小売価格」が調査対象となっているが、前掲のQuoraの説明では、実際の「小売価格」が対象となっている印象を受ける。日米で契約内容が異なる可能性もあり、どちらなのかは判断がつかない。
ともあれ、このような事情を勘案すると、Kindle電子書籍の価格の上下があったとしても、それが意図的なものなのか、自動プログラムによるものなのかは、ケースバイケースで見てみるしかない、ということになる。
例えば今回の場合、日本のKindleストアがオープンしたことにより、「プライス・クローラー」の対象に、日本のライバル電子書店が含まれるようになった結果、値段が変わったのかもしれない。実際、「スティーブ・ジョブズ」(英語版)はKoboでも販売されており、価格は1748円だ。
インド向けKindle ストアに加え、Koboの他、バーンズ・アンド・ノーブルなどのライバルサイト、さらに出版社サイトも調べた結果が表2だ。
これを見ると、本というものは、再販制のない国では実に様々な値段で売られている商品である、という感を強く持つ。再販制度が認められていない日本の電子書籍も、やがてそのような世界に突入していくのだろうか。
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