iPad mini発表の裏側で感じたアップルのしたたかな戦略


 米アップルが米国時間の10月23日、7.9型液晶ディスプレイを搭載したiPad miniや、第4世代iPadなどの新製品を発表した。

 10月26日のWindows 8の発売を直前に控えたタイミングでの発表であること、さらにはiPhoneを巡るサムスンとの係争で敗訴したカリフォルニア州の連邦地方裁判所から100メートルも離れないところに新製品発表会場をあえて設定したように、「時期」と「場所」に綿密なマーケティング施策が盛り込まれていることを感じざるを得ない発表会だった。

 サンノゼでの発表会に参加して実際にiPad miniを触ってみたが、iPadとしての質感を一切落とさずに片手で持てるサイズに凝縮した点はさすがである。

 iPadの携帯性を高めることや、16GBモデルで2万8800円という価格設定からも、iPadの複数所有を促進することにつながりそうであり、販売台数の拡大にも寄与するだろう。とくに日本では小さいサイズであることが女性に受けそうである。iPad mini専用のSmart Coverも用意され、色の観点から自分なりの演出ができる点も見逃せない。

 iPad miniのキャッチフレーズは「Every inch an iPad」。日本語では「ミニなのは、サイズだけ。」とする。

 同社では「サイズを小さくしたから何かを削ったということは一つもない。サイズは小さい。だが、iPadとしての性能は何も変わらない」と強調する。

 iPad miniは、Retinaディスプレイの採用を見送ったが、それでも7.9型のサイズを採用することで従来のiPad 2と同じ解像度を実現した。

 アップルが7型のディスプレイを採用しなかった理由はここにあるといってよく、ここにも機能を削らないという言葉の意味がある。

 これはアプリケーションを開発するサードパーティーにとって重要な意味を持つ。これまでのアプリケーションに改造を加えなくても、そのままiPad miniで動作させることができるからだ。

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