--Sprintの無制限プランはどうなるのか。
Sprintの無制限データプランは安全なように思える。ネットワークの強化と現金注入は、帯域や財政が圧迫される可能性を軽減するため、同社は同オプションを維持できるはずだ。
競争の観点から見ると、同オプションを維持しないことは自殺行為だ。今では、T-MobileとMetroPCSの両社も付帯条件なしの無制限データオプションを提供しているので、Sprintはこの点において、もはやそれほど特別な存在ではない。
しかし、iPhoneと無制限プランの組み合わせを提供する通信キャリアは米国においてほかにはない。T-MobileもMetroPCSもAppleのデバイスを販売していないからだ。AT&TとVerizon Wirelessはいずれも新規顧客を対象にデータプランに上限を設けている。一方、ほかの地方通信キャリアやプリペイド通信キャリアは、データ使用量が上限に達した場合に顧客の接続速度を大幅に低下させることで、サービスに制限を加えたり減速させたりしている。
無制限は、Sprintをより大規模なライバルと差別化する重要な要素だ。したがって、ソフトバンクはどちらかといえば、そのプランをより熱心に売り込むことに力を入れるだろう。
--Clearwireは今回の件にどのように関わるのか。
Sprintは新興の4GサービスプロバイダーであるClearwireと複雑な関係にあることから、この数日間、同社の名前があちこちで飛び交った(Clearwireはワイヤレスサービスをほかの通信キャリアに提供している。また一部の地域では消費者に直接提供している)。SprintはClearwireの最大の株主および顧客だが、同社を掌握しているわけではない。
いくつかの報道は、ソフトバンクが買収に合意する前にSprintはClearwireを買収しなければならないと示唆したが、それは事実ではなかった。Sprintとソフトバンクは発表の中でClearwireについてはっきりと言及し、SprintはClearwireとの現行の提携以外に何らかの行動を起こす必要はないと述べた。ただし孫氏は将来的にClearwireとの関わりを強めたいと考えていることを示唆した。
ソフトバンクがClearwireに興味を抱いているのは、両社がいずれもTD-LTEとして知られる同種のLTEに投資していることが理由である可能性が高い。TD-LTEは、SprintやAT&T、Verizonが自社のネットワークで使っているテクノロジとは異なる。SprintとClearwireを1つの企業の傘下に収めることは間違いなく物事を簡素化し、ソフトバンクが米国でより多くの周波数帯を掌握することを可能にするだろう。
Sprintは自社のネットワークへの負担を軽減するために、Clearwireの次期TD-LTEネットワークを利用することを確約している。今回の買収によって、その取り決めが変わることはない。
--ソフトバンクとSprintが統合された企業とは、どのようなものになるのか。
ソフトバンクの事業とSprintを組み合わせると、両社はグローバルなサービスプロバイダーの上位に躍り出る。
両社の1月~6月のモバイル売上高を合計すると320億ドルになり、その半分以上がSprintによるものである。その合計額は、VerizonとChina Mobileに次ぐ3位で、AT&Tとほぼ同じ水準である。そして、VodafoneとNTTドコモには勝っている。
両社の契約者数を合計すると9600万人で、VerizonとAT&Tの米国における契約者数にはまだ及ばない。
会社の規模が大きくなるということは、通信機器やスマートフォンを注文する際の交渉力が強くなることを意味する。それは、将来的にコスト削減につながるかもしれない。
2011年のAT&TとT-Mobileの買収案件は、両社が合併するとワイヤレス業界に競争がなくなってしまうとの懸念を規制当局が抱いたために実現しなかった。ソフトバンクとSprintの買収案件では、同じ問題は起きないはずだ。なぜなら、それは実際には弱い立場にいる企業に力を与え、競争のある環境を促進する可能性が高いものだからだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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