スプリント買収に“2つの疑問”--孫社長、解決に「自信がある」 - (page 2)

疑問(2)「借入金の返済は可能か?」

 2つめの「借入金の返済は可能か?」という疑問についても「自信があります」と孫氏は答える。

  • ソフトバンク代表の孫正義氏

 「今回の買収のために日本の経済史上でも最大の資金調達を行い、借り入れを一気に増やした。ソフトバンクの歴史を振り返ってみても、大きく借金を増やして、大博打をして、もう潰れるぞと言われながら何度もそこからはい上がってきた。しかし、借金をほぼ払い終わったのにまた借りる。『大概にしろ』という多くの投資家の気持ちはよく分かる、しかし、ちょっとお付き合いをいただきたい」(孫氏)

 孫氏が自信の根拠として挙げるのが、純有利子負債の削減実績だ。同社は、2006年6月末時点で2兆4700億円あった純有利子負債を、2012年6月時点で8000億円まで削減している。ボーダフォン買収時に1兆3000億円あった借入金も、2018年度という目標を大幅に前倒し、2011年度にシンジケートローンによるリファイナンスで完済している。

 また、今回の純有利子負債/EBITDA倍率は2.7倍で、ボーダフォン買収時の5.6倍と比べると約半分であると説明し、「だいぶ大人になった。無茶な借り入れをしないように大分気をつかって、(借り入れの)倍率は半分に抑えた」(孫氏)と語る。国内外の企業と比較しても2.7倍という倍率は健全な水準だとした。

  • 純有利子負債を大幅削減

  • 借入金を前倒しで完済

  • EBITDA倍率は2.7倍

 さらに、2011年度は3兆6000億円だった連結売上高は、今回の買収により6兆3000億円となり、NTTドコモの4兆2000億円、KDDIの3兆6000億円をはるかに超える数字となる。また、契約者数も3950万人から9600万人となり、日米最大の顧客基盤が誕生したと語った。

 「ソフトバンクとKDDIだとほんとはどちらが多いんだ、ウィルコムやイー・モバイルを抜いたら3位じゃないのかなど、いろいろな議論があると思うが、そんなものはすべて誤差だった。ソフトバンクの売上はモバイル事業者の世界でついに3位になったということ。ソフトバンクが2位か3位かという議論は、日本国内のことではなく世界の中で2位なのか3位なのか、こういう議論をしようじゃないか。今日からステージが変わったとご理解いただきたい」(孫氏)

 今回の買収によって世界3位の売上規模になったソフトバンクだが、今後は世界一を目指すのかという問いについては、「やはり男子として生まれたからにはいずれは世界一になるぞというくらいの高い志はもっている。ただ、物事には順番がある。今回はまずSprintと経営統合し、パートナーとして一気に進めていく。まずはそこをしっかりとやり遂げていかなければいけない」と意気込む。

  • 連結売上高は6兆3000億円に

  • 世界第3位の売上高になったソフトバンク

  • 契約者数は9600万人に

 また、いつごろから買収を検討していたかという質問に対しては「Sprintだと完全に標準をあわせたのは数カ月前」としたが、どちらが先にアプローチしたのかという問いについては「(過去の買収や統合についても)いつも私からだ」と明かした。

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