「世界レベルの会社になれば、今まで以上に設備投資が行える。すでにプラチナバンドにおいては世界で最も速いスピードで投資を行っており、将来的にドコモやKDDIよりもつながりやすくすることは、我々の目標であり、ユーザーとの約束である。それに使うための資金は十分にある。ユーザーとの約束を果たしていける」としたほか、「Sprintを加えた両社のスマホの販売台数は世界最大規模のものになる。iPhoneでも共通しており、最もハイエンドのAndroid端末も活用できる。メーカーとの交渉でもボリュームを生かした展開が可能になる」と語る。
会見の冒頭に孫社長はこう切り出した。
「私は16歳のときに、単身米国に留学した。米国は私にとっては初めての外国であり、とてつもなく大きく、青空が天に広がり、すばらしい広大な土地があった。その後、ソフトバンクを設立した。三十数年ぶりに、米国にもう一度、大きくお返しをする発表となる。これを心からうれしく思う。以前よりも、より大きな形で挑戦をする。挑戦をするには大きなリスクがある。だが、ソフトバンクは日本の経済史で最大規模の買収というリスクを取る。この成功には自信がある」と言い切る。
今は「大阪に行くよりも米国に行く方が回数も多く、気持ちとしては近い」と孫社長は語る。
自信の背景には、Sprintがすでに自らの力で回復していること、ここに新たな競争力を持つために80億ドルを投資することで回復をさらに加速させることがある。この80億ドルを孫社長は「真水」と表現する。
そして、これまでの日本でのスマートフォンナンバーワンの顧客獲得戦略、LTEによるインターネットマシンを軸とした高速通信戦略、さらには日本テレコムやボーダフォン、ウィルコム買収による3つのV字回復のノウハウを提供できるとする。
孫社長はこの3社を「赤字3兄弟」と表現し、「1度のV字回復であれば“まぐれ”と言われても仕方がない。しかし、3度も実現していることは、もはやソフトバンクの文化。3度あることは4度ある」とする。
今回の約2時間に渡る会見を通じて感じたのは、孫社長の経営の視点が、一巡目のタイムマシン経営に比べ、より世界を意識したものになっている点だ。そして、それは「世界一」という言葉を初めて使ったことからもわかる。
「男子として生まれたからには世界一になりたいという気持ちはある。しかし、物事には順番がある。まずはSprintの買収をしっかりとやり遂げなくてはならない」とする一方、「ソフトバンクが世界で最も大きな市場で他流試合をしてくるということは、野球やサッカーと同じで、技やキレ、体力、ボリュームといった意味合いで、本質的に体力が強くなるのは間違いない。これは、金額では何兆円もの価値があるだろう」とする。
ソフトバンクは、いよいよグローバルレベルの経営に踏み出す。目指すのは世界一、30年後の時価総額200兆円だ。
今回の買収は、グローバルエクセレンスカンパニーの仲間入りに向けた大きな一歩になるかが焦点ともいえる。そうした観点からみて、数年後のソフトバンクの姿は果たしてどうなっているのだろうか。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果