CEATECの展示物というと大型テレビからスマートフォンまで完成品が中心の印象を受けるが、ショーの歴史を紐解くと電子パーツのトレードショーでもある。パーツの動向は完成品と密接に関わっており、パーツ展示を見ていると次の製品が見えてくるような気もする。
ロームは世界最小の部品を3つそろえた。小さい抵抗器、ダイオード、トランジスタだ。いずれもスマートフォンや携帯機器向けとしており、これらの部品の量産が進み、こなれた価格で出荷されるようになれば、完成品がひとまわり小さくなっている可能性がある。
ロームの世界最小チップ抵抗器のサイズは0.3mm×0.15mm×0.1mmで、まもなく量産開始。しかしブースではさらに小型チップの抵抗器を開発中との説明もある。ダイオードは0.4mm×0.2mm×0.12mm。トランジスタは0.8mm×0.6mm×0.36mm。パーツの基板への実装面積が減少することで基板面積が小さくなり、同じ回路で構成していても機器のサイズは小さくなる。
ロームではチップダイオードを砂に見立てた砂時計を展示。20万粒を詰めた場合のパーツの量の違いがわかるようにしていた。
コンデンサやコイルといった電子パーツの最小単位から、モジュールまでさまざまな部品を作っている村田製作所。世界最小のパーツという点でも積極的だ。
今回展示されたものでは、世界最小をうたう積層セラミックコンデンサが目を引いた。サイズは0201(0.25mm×0.125mm)で実物を確認するのに顕微鏡が備えてあるほど。今まで最も小さかった0402サイズも十分に小さいが、さらに小さくなり、機器の小型化に貢献できる。
展示ブースは単体パーツのほか、モジュールも多数展示された。非接触で絶対位置の検出ができる超音波センサは、携帯端末などの前で手をかざすなどの動作を立体的に検出できる。タッチパネルと違って離れていても検出できるため、濡れた手で触る機器や、3D表示機器のアイコンを空間上で選択するような応用が可能という。
現在は完成品メーカーへ売り込みを開始した段階の開発品だが、CEATECへ展示したことで、今後、このセンサをキーデバイスとした面白い製品が登場する可能性がある。
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