「デジタルヘルスケア・プラザ」という専用の展示スペースを設けるなど、ヘルスケア関連製品も注目のCEATEC JAPAN 2012。今年はNFCやBluetooth 4.0によって、通信できるヘルスケア製品の流行の兆しを感じられた。
デジタルヘルスケア・プラザでは、メーカーに関係なくヘルスケアデータのやり取りができるコンティニュア対応の製品やサービスを多数展示している。コンティニュアに対応することで、血圧や体重のデータをダイレクトにPCに転送でき、データの活用や正確性が高まるという。
医療機関などの業務では、直接PCに転送することで数値の転記ミスを防止できる。個人用途では、転記ミスをなくすとともに、たとえば血圧測定の際、悪い数値が出た場合に良い数値が出るまで測定を何度もやり直したり、数値を書かなかったりという行為を防ぐことができる。健康でありたい気持ちから無意識にやってしまうことだが、正確な健康状態を把握する観点からすれば、機械的に数値が転送されたほうが良い結果につながりやすい。
展示では、血圧計や体重も図れる体組成計を製品化しているエー・アンド・デイが、測定器からデータをBluetoothでPCやスマートフォンに飛ばし、PC画面に表示するデモを行った。PCに表示するだけでなく、NTTレゾナントの「gooからだログ」といったオンラインのサービスにデータを登録することも可能だという。
女性向け健康管理サービスの「ルナルナ」を運営するエムティーアイは、M2Mデータのプラットフォームを目指して出展。自社開発のマイクロ・タグ活動量計や、コンティニュア対応の体重計などの測定器と連携できることをアピール。新しいサービスを模索していた。
そのほか最終製品以外にも、CEATECらしくコンティニュアに対応する電子パーツなども展示された。Bluetoothが4.0になって省電力という点からも携帯型の測定器に内蔵しやすくなり、Bluetooth通信を含んだチップセットなども提案されていた。
体重計など重さを測る測定器分野で有名なタニタは、Bluetoothや無線LANを使ってデータを転送する製品を多数展示した。特に今年はBluetooth 4.0が登場した影響で、Bluetoothの人気が高まっている。タニタでもBluetooth対応を進めており、主力の体重計では、スマートフォンなどで体調管理が手軽に行えるよう製品ラインアップを広げている。
現在のところBluetoothでPCやスマートフォンにデータを転送するニーズはそれほど大きくはないというが、いつ流行が来ても対応できるよう、製品開発には積極的に取り組んでいくという。
また、無線LAN対応も進めており、新製品として無線LANを使ってデータを送信できる睡眠計「スリープスキャン SL-511」も展示した。敷布団の下に敷いて利用するもので、睡眠状態や呼吸数、心拍数などをネット経由でチェックできる。医療用として睡眠状態をチェックするほか、運送会社が安全運行のために運転手の睡眠状態を管理する際などにも活用できるとしている。
オムロンはMedicalLINKとWellnessLINKという2つのリンク方式でヘルスケアの電子化を進めている。MedicalLINKは、ドコモのFOMAネットワークを使って血圧を電送し、分析するサービスだ。個人の家庭に置く専用血圧計「HEM-7251G」は、FOMAの通信モジュールを搭載し、測定した数値が電送され、医療機関でその情報を活用できる。
一方のWellnessLINKは、個人向けの健康管理サービス。対応機器は血圧計、体重体組成計、活動量計、睡眠計、歩数計、婦人向け電子体温計で、FelicaやUSB接続でデータをPCやスマートフォンに吸い上げ、WellnessLINKへアップロードし活用する。
当初はUSB接続で計器からデータを電送していたが、現在はFelica/NFCへの対応を進めており、ほとんどの分野でFelica/NFC対応製品が出揃った。おサイフケータイ対応のスマートフォンを使ってデータ電送をするため、現在の対応機種はAndroid OS搭載機。iPhone 5でNFCの搭載が見送られたため、今後はiPhoneへ対応する方法を検討中とのことだ。
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