iPhone 5において注目を集めたひとつが「テザリング」への対応だ。KDDIとソフトバンクは、iPhone 5の発売に併せてLTEサービスを開始すると発表。しかし、当初はKDDIのみがテザリングに対応すると表明し、これに対抗する形でソフトバンクもテザリングへの対応を発表した。
「世界の95%のキャリアがテザリングを提供しており、これまで提供されていなかったのは日本だけ。僕らは去年初回だったからそこまではできなかったが、世の中で標準になっているのに、自分たちのネットワークが厳しいからと、蓋をしていいのかと。僕らは当然ソフトバンクもやると思っていたから、(当初)やらないというのにはビックリした」(田中氏)
Androidスマートフォン向けに展開する「auスマートパス」をiPhone向けに展開することも発表されている。料金は月額390円だが、2011年10月以降にiPhoneを購入した顧客は2012年末まで無料で利用できる。
Android版では500本以上のアプリがダウンロードし放題だが、iPhone版ではアプリの代わりにニュースや天気、ゲームコンテンツなどをウェブサービスとして提供する。写真や動画をバックアップできる「データお預かり」サービスや、各種クーポン情報などは、Android版と同様に利用可能だ。
今後、iPhoneにおけるauスマートパスでのアプリ提供の可能性について田中氏は「アプリも当然使えるようにする。いつから使えるようになるかというと、そこはまだ時間がかかるので、12月末まで無料にしますということ」と含みを持たせた。
iPhone 5は当面、KDDIの主力製品となることが予想されるが、Androidスマートフォンとの販売比率についてはどのように考えているのだろうか。この疑問について田中氏は、「ある程度バランスを取ることは可能」との見方を示す。Android端末がLTE回線を使えるようになるのは、もうすぐ発表会が開催されるであろう秋冬モデルからだ。これまでのモデルは利用できない。
「やはりiPhoneが好きな人と、Androidが好きな人で分かれる。この間のグレーなところがどちらへ行くかということくらい。僕らとしてはやはり選択して欲しいという思い。1つしかなくて、選べないというのが顧客にとっても一番イヤだと思う」(田中氏)
そうした顧客が選択できる点でいえば、タブレットも視野に入るべきだろう。同社からの発売が期待されている「iPad」について聞くと、引き続ききっぱりと「ノーコメント」だった。ただし、「スマートフォン、タブレット、テレビの3つをつないでいくというのが『3M戦略』ですから、足らないものがあったらやっていかないといけないよね、という強い思いがある。今回のスマートパスについても、なぜiPhoneでは使えないのかと顧客から言われてきたし、(アップルとも)真摯に交渉して実現できた」と語った。
また、キャリア間で顧客争奪戦が激しく展開されている現状では、MNP顧客へのサポートや恩恵が手厚く、新規の顧客や長年auを利用している顧客が冷遇されている感も否めない。その点について、田中氏は「何か考えないといけないと思っている。すいません」とした。
スマートフォンの急増にともない、2012年はNTTドコモ、KDDIともに度重なる通信障害を起こしている。これまで以上に、「ネットワークの安定性」を重視して、通信キャリアを選ぶユーザーも増えていくことだろう。
今後のトラフィック対策ついて田中氏は、「言い訳をするわけではないが、KDDIはトラフィックでは障害を起こしていない。僕なんかは、ほんとに毎週何十個もパラメータやレポートをチェックしている。なので、伸びていってはいるが、適切なタイミングで増強もかけている。もう1つはCDMAは電話とネットワークが分離されてるところ。あれは強いよね。なので大丈夫」と語り、急増するトラフィックにも耐えうるネットワークを構築しているとアピールした。
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